secret 94  愛する人  *若干きつめの性描写含みます*

息が、うまくできない。
ゆーにーちゃんを振りかえろうとしたけど、がっちり抱きしめられて肩にゆーにーちゃんが顎を乗せてて、その表情を見ることはできなかった。
「………な、……んで」
否定しなきゃ、って思うのに頭が回らない。
「俺は実優が生まれたときからずっと傍にいて見てきたんだよ? 実優のことならなんでもわかるよ」
ゆーにーちゃんの声はいつもと変わらない。
怒っているような様子はないし、いつもと同じ優しい声。
でもだからこそ―――不安になる。
「………私」
「転校してから何があった? 俺には言えない?」
「………っ」
ずっと、ずっとゆーにーちゃんにはなんでも話してた。
だけど、言えない。
言ったら絶対に、ゆーにーちゃんを傷つけてしまう。
「実優」
少しだけゆーにーちゃんが身体を離して、私の顔を横向きにさせて目を覗きこむ。
「……言って? 俺に実優の全部を見せて。俺は全部受け止めるから」
「………ゆ……う」
私が泣くなんて間違ってる。
だから熱くなる目頭に、必死で唇を噛み締めた。
その唇をゆーにーちゃんが優しく撫でる。
「血、出るよ。……大丈夫だから。ね、実優」
優しくキスを落とされて―――私はしばらく沈黙した後、ゆっくり口を開いた。
そして……ゆーにーちゃんに全部話した。
転校初日から今日までのこと全部。
途中……クラスメイトの子たちはって……訊かれて、和くん達のことも、全部話してしまった。
嫌われても、軽蔑されたとしても。
全部……私が悪いんだから。






「先生とはセフレなんだ……」
私が全部話し終えた後、ゆーにーちゃんはそう呟いて黙り込んだ。
その眼はどこか遠くを見てて、なにかを考えてるみたい。
きっと私に呆れてしまったんだろう。
「……ごめんなさい」
他の人と身体を重ねた事実を謝ったからって済む問題じゃない。
そう分かってるけど、私にはそう言うしかできない。
「―――バカだな」
ひどく小さな声だった。
でも静かな部屋では聞こえないはずがなくって、私は唇を噛み締めた。
どんな責めだって―――受けなきゃいけない。
「………実優」
そっと、また後ろから抱きしめられた。
ゆーにーちゃんの予想外に優しい声に、だけどやっぱり不安と恐怖が渦巻く。
自分の蒔いた種なのに。
「先生とは″セフレ″だったんだね」
「………ごめんなさい……っ」
「………いいよ」
「………」
「ただのセフレだろう?」
ゆーにーちゃんは小さく笑った。
胸が―――軋む。
きっとこの胸の痛みは、ゆーにーちゃんを傷つけてしまったことへの痛み。
「セフレなら、許してあげる。もちろん―――もう俺以外の誰にも触らせないでね?」
ぎゅっと抱きしてくる腕に力がこもる。
「……うん。……怒ってないの……?」
「そうだね……。怒るというか―――気が狂いそうな程度にはショックだけど」
「……っ……ごめ……っ」
堪え切れなくって涙をこぼしてしまった。
「でもいいよ。″身体″だけなら、いい」
「………」
「先生とは″身体″だけ、だよね?」
「………………うん……」
「ならいい」
そう言いきったゆーにーちゃん。
「………でも」
その唇が私の耳に寄せられて、囁く。
「―――お仕置きはしないとね?」
「………っ」
ゆーにーちゃんの手がするりとズボンの中に、パンツの中へと入っていく。
ゆるゆると割れ目を撫でて、まだ濡れてないソコに指がほんの少しだけ入れられた。
「ここに他の男の指を入れたんだね」
「………ご…めんなさい……っ」
「セフレになるくらいだから、先生とのエッチは気持ちよかったんだろ? 先生はどんな風にココを弄ってた?」
指がまた少し侵入して、ゆるくナカをかき回す。
ゆーにーちゃんの声はいつもとかわらない。
だけど、その言葉は―――私の胸に突き刺さる。
そして―――誘導されるように思い出してしまう、先生とのこと。
「………濡れてきたね」
「……っ……」
じわり溢れだしてきた蜜に、ナカにあるゆーにーちゃんの指がスムーズに動きだす。
這い回る指にくちゅくちゅ音が響いてきた。
「先生のこと思い出した?」
「………っ……ちが……。ゆ、ゆーにーちゃんに……触られてるからっ」
「そう? じゃあ俺と先生の指どっちがいい?」
ぐっともう一本指が追加されてバラバラとナカで指が動く。
「……ぁ……ん……っ」
「実優?」
「ぁ、っ……ゆーにー……ちゃんっ……ふぁっ!」
指が私のイイトコを探って擦ってくる。
くちゅくちゅとさらに蜜が溢れていってしまう。
「いま実優を気持ちよくしてるのは誰?」
「……ん……ぁ……ゆ……にぃ……ちゃん」
執拗にナカを攻められながら、不意に突起をぐりぐりと押された。
「ぁ! んん……っ」
「実優は淫乱だから、身体が寂しかったのかもしれないね?」
ぐちゅぐちゅ卑猥な水音と、少し笑いを含んだゆーにーちゃんの声が耳を打つ。
「……ん……っ……う、んっ………さびし……かった」
じわじわと快感が腰から背筋を走って脳を侵す。
「ごめんね、寂しがらせて」
指がまた一本追加されて圧迫感が増して、それにまた感じてしまう。
ずぶずぶ出し入れされる三本の指と、もう片方の手も入りこんできて突起をぐりぐり弄ってる。
「……っあ、……ん…っぁ……ん」
「でももう大丈夫だよ? 俺がずっと傍にいて、気持ちよくしてあげるから」
「ぁ、ぁ……んぁ……っうん……っずっと……傍にいて…っ」
ぐちゅぐちゅ、ずぶずぶ激しい指の動きにぞくぞくと昇り詰めていくのを感じる。
「……ぁん……ぁ……っは…あ……ん……っ!」
ぶるぶる脚が震えていって快感が絶頂に達しようとした寸前で、いきなり指が音を立ててナカから出ていってしまった。
大きいはずの快感が、出ていった瞬間の刺激に勢いを弱くして身体を痙攣させる。
「……んっ、……ゆーに……ちゃん…?」
「腰浮かせて?」
「……う、ん」
言われた通りに腰を浮かせようとしたけどふらついたから力を入れて膝立ちしした。
するっとゆーにーちゃんの手がズボンをパンツごと引き下ろす。
優しく背を押されて四つん這いにさせられた。
そしてまた指がアソコに触れて蜜を掻きだすように這い回って―――蜜をまとった指がもう一つの孔にあてがわれる。
「……っ! ゃ、ゆーにー…ちゃっ!」
思わず逃げそうになった腰をゆーにーちゃんががっちり掴む。
そして蜜を塗り込むように後孔に指をめり込ませる。
「っ、んぅ!」
明らかな違和感に涙がにじむ。
「ぁ……っ、んっや」
「ココは誰にも触らせてないよね?」
ゆっくりと侵入していく一本の指の感触が嫌でもわかる。
鈍い痛みに身体を小さく震わせてると突起に指が触れて振動を与えてきた。
「んんっ」
「実優?」
「……ぁっ……さ、さわらせてないっ。ゆ……ゆーにーちゃんだけ……っ」
「よかった」
「……んっ! あ……んっ……ゆーにー…ちゃ」
「なに?」
「う……しろ……ヤ……だ…っ」
「忘れたの、実優? 今はお仕置きの最中だよ?」
「っ……ぁ!!」
突起を刺激されて蜜がだらだらとこぼれてナカがきゅうきゅう疼いてる。
そしてもう一つの孔に埋まった指はゆっくりゆっくり動いている。
「お仕置きだけど、ちゃんと気持ちよくしてあげるから」
「……っ…あん……っ」
「知らないんだよね? 先生は、実優がこんなところでも感じれるなんて」
お尻にゆーにーちゃんの舌がざわりと這うのを感じて、ぞくぞくっと快感が走った。
「……しらない……っ」
「俺だけ?」
「ゆーに……ちゃん……だけ……っ」
掠れた声で小さく言うと、指が引き抜かれた。
違和感があったはずなのに、喪失に身体が疼く。
「ちょっと待ってて」
ゆーにーちゃんはそう言うと、ベッドから降りてクローゼットのほうに行った。
それが―――なにを示すか私は知ってるから。
不安を覚えるのに―――身体がまた疼く。
ベッドが軋んで、ゆーにーちゃんが私のもとに戻ってくる。
そして冷たく濡れた指が、また後孔に今度はスムーズに入り込んできた。
「久しぶりだから、ちゃんと濡らさないとね」
「……っぁ……ぁ」
トロリ落とされる冷たい―――ローション。
指を滑らされて、そして突起への刺激も再開されて、快感なのかそうでないのか、よくわからないものが全身を襲う。
「っん……ぁっ」
ゆるゆると時間をかけて開かされていく後孔。
「ぁ……ぁん……は……んんっ!」
突起を激しく擦りつけられて軽くイッた瞬間、指が二本に増やされて、探るように動き出す。
もうだんだんと違和感は薄れてて、残るのは快感で。
黙々と指を出し入れされて、違う孔なのに、びくびく腰が震えてしまう。
こんな行為さえもしていたなんて。
―――が知ったら……さすがに驚くのかな。
一瞬。
先生のことが頭をよぎった。
「………他のことを考えちゃだめだよ?」
表情のない呟きとともに指が引き抜かれて―――そしてゆーにーちゃんのモノが後孔にあてがわれた。
「………ッ!!! ぁあっ!」
指とは比べ物にならない太いものがゆっくり入っていく。
ローションでたっぷり濡らされてるからスムーズじゃないけど、難なく侵入していく硬いモノ。
「んっ……んっ、ふ……っあ」
「力抜いて」
優しくゆーにーちゃんが囁いてお尻を撫でて、そしてアソコにも指を挿入する。
くちゅくちゅとナカをかき回されながら、ずぶずぶともう一つの孔に埋まってしまうゆーにーちゃんのモノ。
「……入ったよ?」
少しだけ掠れたゆーにーちゃんの声が響いて、ゆっくりと律動が始まった。
激しい圧迫感に息が激しく乱れてしまう。
なのにアソコを弄る指に誘われるように、すこしづつ後ろにも快感が生まれていって。
乱れる吐息がゆーにーちゃんからも落とされてるのに気づいて、さらに快感が増してく。
「……ぁ、んう! っは……んっ」
ゆっくりとした動きが、だんだんとスピードを上げていく。
「あっ……あ……っや……あ」
ずぶずぶと出し入れされる摩擦に熱を帯びていく。
ゆーにーちゃんの手が私の胸をつかまえて、ぐにゃぐにゃと揉みしだく。
「っは、ぁ! ……ふ……っぁんっ……んっんー……っ」
どうしようもないくらいに―――気持ちいい。
こんなところで感じるなんて、頭の端でおかしいって思うのに、ゆーにーちゃんの腰の動きに生まれるのはやっぱり快感で。
私のカラダは、やっぱり、全部ゆーにーちゃんに作りあげられてて。
気が狂うくらいに乱される。
「っんんんっ!! ぁんっ……ゃんっ」
「気持ちいい?」
「イイ……っ……あ、っん!」
いつもと違う孔なのに、違う感覚に、圧迫感に、熱に絶頂の波が渦巻いてくる。
「ぁ、あ! あ!!」
「……イキそう?」
「……ん……んっ! ぃ……っ……ぁ!!」
チカチカと目の前が点滅して、ぐらぐらと意識が回る。
大きく背をのけぞらせて私は達してしまった。
だけどゆーにーちゃんの動きは止まらずに激しさを増す。
胸を、アソコを、そして後ろを、同時に攻められてイったばかりなのに、またイってしまいそうな予感。
「んんっ、ゃぁ! あっ、っは……ゆ、にーちゃ……んっ!!」
ぐちゅぐちゅ、ずぶずぶ、刺激に頭が真っ白になっていく。
「ゃあ! こ……われ……ちゃ……う……っ」
「……壊れれば……いいよ……っ」
一層激しく腰を打ちつけながら、色欲に濡れたゆーにーちゃんの声が落とされる。
「全部壊れればいい」
そして不意に律動がとまり、身体を反転させられた。
抱き起こされて対面で抱きしめられる。
深く奥まで達するモノに息が一瞬止まる。
ガシガシと動きを再開させながら、ゆーにーちゃんは私にキスをし、また囁いた。
「壊れればいい」
「っあ、んんっ……あ、ぁ……ぁあ!!」
「全部全部壊れたら」
「……はっ、ぁん、……あっ、イ……ちゃ、ぁっあ」
「―――俺が全部作りなおしてあげるから」
激しすぎる突き上げなのに、その声はひどく優しくって。
「また―――俺だけの実優に―――ね?」
そして唇を塞がれ舌を絡み合わせて。
私が意識を遠のかせるくらいの絶頂に達した瞬間、ゆーにーちゃんも熱を吐きだしたのがわかった。