secret 77 Unconsciously

少しの間、お互いに熱い息を吐きながら繋がってた。
だけど後処理をするために先生が私のナカから出ていく。
それが寂しくって―――。
「……あの、先生……」
「なんだ?」
背を向けてベッドサイドのティッシュを取っている先生がちらり顔を向ける。
「………なんでも、ないです」
「………なんだよ」
処理を終えた先生が私の隣に横になった。
ぐいっと腰を引き寄せられたかと思うと、少し持ち上げられて、先生の身体に重なるように上に乗せられた。
「ちょっ…」
身体を離そうと思うけど、行為が終わった直後で力が入らないっていうのもあるし、先生にがっしり捕まえられててぴったり身体中が触れ合ってる。
先生はじっと私を見つめてて、なんか緊張してしまう。
少しの沈黙のあと、先生がゆっくり口を開いた。
「………重い……」
「…………」
悪かったですね! 重くって!!!
ムッとして、内心ブツブツ言いながら離れようともがくけど、先生が離してくれないから降りられない。
「冗談だよ」
ふっと先生は笑うけど、重いなんて言われたショックは忘れられないんですが。
「……いいんです、どうせ重いから」
「どっちかっていうと軽いほうだろ。お前、小さいからな」
「……チビ?」
「エコサイズ?」
「……エコって」
「で、さっき何言いかけたんだ?」
「―――へ」
「なんでもないです、ってやつ」
「……なんでもないです」
「気になるんですが?」
「いやそんなたいしたことじゃないんです」
「じゃあ言えよ」
さっき、思ったこと―――。
「………ゴム」
「ゴム?」
「………先生はやっぱりお気に入りの……そのメーカーとかあるんですか」
さっき、一瞬思ったことを言えるはずなんてない。
それは私の心の奥にしまって、鍵をかける。
「……は? それって遠まわしに二回戦に誘ってるのか?」
「ち、ちがいますっ! だからとくに意味ないっていったじゃないですかっ! そ、それに先生はちゃんといつも使ってるなって思っただけですっ!」
「まぁエチケットだろ。なんだ、お前生でしたいとか?」
「ち、ち、違いますっ」
顔がトマトみたいに赤くなってしまってるのがわかる。だって異様に顔が熱い。
「ふーん。でも生はないな。ピルでも飲んでるならともかく」
「………」
「つーか、ほんとは2回戦希望なんだろ?」
「………違いますって……。あの、先生」
「ん?」
「………あけましておめでとうございます」
そういえばちゃんと言ってなかったって思い出して、言ってみた。
先生は一瞬きょとんとして、小さく笑った。
「ああ。おめでとう」
ちょっと優しいような気がする眼差しに、ほんと少し、ほんとうに少しだけ―――ドキっとした。
「んじゃ、改めて。年明け一発目するか」
言いながら先生の手がさわさわと背中やお尻を撫で始める。
「はぁ!? あの、すみません、さっきシたばっかりなんですけど!」
「んー? さっきは年越し編だろ? いまは新年編」
「編、ってなんですか!?」
「うるせーなぁ。実優が続き催促するから仕方なくシてやるのに」
「催促してませんってば」
「ちなみに俺の愛用は超薄いタイプのゴムだぞ?」
「な、だ、だからシな………んっ」
顎を掴まれてキスをされる。
「―――濡れてるけど? さっきからずっと」
ニヤって意地悪く目を細める先生。
先生から言われるまでもなくって、知ってた。
ずっと密着してた身体、だから、勝手に、そう勝手に身体が反応しちゃってるってことに。
「……先生だって」
お腹のあたりにあたる硬いモノ。
行為が終わったあと少し落ち着いてたソレは、いまはまた硬く熱くなってて―――。
「俺が、なに?」
「……先生のだって」
「俺の、ナニが?」
「………変態エロ教師っ!」
言わせようってする先生に、恥ずかしさを隠すように叫んで。
そしてちょっとした悪戯心と反撃で、ギュッと先生のを握り締めた。
「った!」
びくっと先生が肩を震わせて、私をにらむ。
「お前なぁ、俺のムスコを潰す気か」
低い声で言うと、いきなり起き上がって―――あっというまに体勢が逆転してた。
私に馬乗りになった先生が妖しく笑う。
「いまの暴力行為の慰謝料、たっぷり払ってもらうぞ?」
「え、あ、あの、ごめんなさ――――んんんーっ!!!」
先生に反撃なんてするんじゃなかった。
そんな後悔なんて先に立たず。
そうして始まった2回戦。
最後は意識を飛ばしちゃうくらいに激しいものだった……。