secret 74 Unconsciously

『―――ゆう』
「………んん……」
何度か名前を呼ばれてる気がして、ぼんやり薄く目を開ける。
でもすっごく眠くって、いまの状況がぜんぜんわからない。
もうすぐにでもまた眠っちゃいそうだし―――。
『実優……、大丈夫か?』
「……う……ん……?」
心配してる声が響いて、温かい手が頬にあてられてる。
『……お前飲みすぎだろ。……気分は? どうだ? 大丈夫か?』
「……ん……。……へー…き」
ふわふわ、ふわふわって身体が浮いてる気がする。
思考力なんてまったくなくって、ただ眠くって、そして心配してくれてる声が心地いい。
『……実優?』
優しくて、私のことを心配しているのがすごくわかるその声に―――、私は手を伸ばして、抱きついた。
「………だいじょ……ぅぶ、だよ…………ゆーにーちゃ……ん」
『…………おい?』
そして寝ぼけたままの私は声の主の首に手をまわして、キスしてた。
ちゅっと触れるだけのキスを繰り返す。
そのキスの反応がイマイチ返ってこないのが不服で、私は半分以上まどろんだまま舌でその唇を舐めた。
――――深いため息が耳に響いたかと思うと、熱い舌が私の口のナカに入ってきて、絡みついてきた。
「………んっ……ふ……ぁ」
くちゅくちゅと響く水音と、―――煙草の香り。
お酒で身体じゅうが熱くてふわふわしてて、口のナカも敏感になってるのか、どうしようもないくらいにゾクゾクって快感が走る。
夢の中にいるみたいな気分。
現実感なんてないのに、快感だけはすごくリアルに私の肌を滑っていく。
深いキスを何度も何度も繰り返して。
身体がどうしようもなく火照ってしかたないのに、急に唇は離れて行った。
私は首にしがみついたままだから抱き合っている状態には変わりなくて。
終わってしまったキスをねだるように、ぎゅっと首にまわした手に力を込めると、またため息が聞こえてきた。
「―――途中で止められないからな」
小さな呟きが聞こえてきて、そしてそのすぐあとまたキスと、手が服の中に侵入してきた。
背中を這いあがっていく手がブラのホックを外す。
ふわっと胸の圧迫感がなくなると、背中にあった手が前にきて胸を覆うようにして揉みだした。
「っ、ぁ……ん……っ」
相手の口内に喘ぎを吐きだしながら腰が勝手に揺れる。
胸を優しく揉まれて、蕾をつままれて身体が小刻みに跳ねてしまう。
ちょっとの刺激なのに気持ちよくってしかたない。
キスがまた中断されて、でも今度は大きく片足を持ち上げられる。
そしてそのままの状態で中心を撫でられた。
パンツ履いたままの布越しなのに、つーっと這う指にぴくぴくアソコが疼いて蜜が溢れだしてくのを感じた。
「……ぁ…っ、……ん…ぁっ」
ぐりぐりと折った指で突起を刺激してくる。
「んっ、ぁん……ゃあ」
気持ちいい。
でも直接触ってほしくって腰が浮いてしまう。
だけど指は布越しにしつこく攻めてくる。
「ぁっ……、んう、っは……ぁ……―――せんせ……ぇ」
ぐちゃぐちゃにナカをかき回してほしくって、堪え切れずにねだるように呼びかけてしまった。
瞬間、指の動きが止まる。
ぴたりと止まったまま動きが再開しないから、うっすら目を開けて私は……先生を見た。
先生はじっと私を見下ろしてた。
「……なんだ、俺だとわかってたのか?」
ため息混じりの先生の言葉に私は回らない頭の中で、どういう意味かを考えながら首を傾げる。
「……な……にが、です……か?」
「……別に。―――実優」
小さく自嘲するように先生は笑う。だけどすぐにその笑みはいつもの悪そうなものに変わって。
「舌、出せ」
命令調で言われて、私はぼんやりした意識のまま素直に舌を出す。
先生の舌が絡みついてくると同時に、パンツの横から指が膣内に潜り込んできた。
ぐちゅぐちゅ、って二本の指が容赦なくナカをかき回しながら奥へ奥へと突き進んでいく。
「っ! ふ、っ、ぁ」
びくびく身体が震えて、簡単に達してしまいそうになる。
舌が自然と離れそうになったけど、すぐに先生の唇にぎゅっと吸われる。
舌の裏側を先生の舌が舐め上げてきて、口のナカに入り込んで、ナカを犯す。
下の口もぐちゃぐちゃと犯されて、愛液がジュプジュプ溢れて水音を立ててるのが聞こえてくる。
「ぁ、やぁ……んっ、ぁ、イ……っちゃ……ぅ……ぁんっ」
「……もうか? 早いな」
キスの合間に、思わずそう漏らせば、先生の笑う声に、なんでだか快感が増す。
「なら、一度イっておけ」
先生は言うなり私の服をずり上げて胸を露わにすると胸の蕾を口に含んで軽く歯を立てる。
同時にナカに入ってた指は3本に増やされて、激しく奥へと突き上げられて―――。
「っあ、っ……んん……だ……め……っ、ゃ……ああんっ!!!」
熱を帯びたように敏感に火照った身体はあっという間に昇り詰めて、何回も痙攣しながら達してしまった。


「お前、濡れすぎ」
先生の指が一気にアソコから音を立てて抜けて行く。
目を細める先生がアソコに沈めていた指を私の唇に押し当ててきた。
先生の指だけじゃなくって手の甲のところまで濡れているのがわかる。
それは全部……私から出たもので。
恥ずかしくって顔が赤くなるけど、でも酔っているせいか、それ以上に煽られる。
私は唇に押し付けられた指を舌を出して舐めた。
変な味……ていうか自分のに躊躇いはあるけど、先生の指をキレイにするために一本一本丁寧に舐めていく。
「………っとに、エロいなぁ」
指を口に含んで舌を絡ませていると、先生が小さな笑いをこぼす。
上目に見上げる私に先生はもう片方の手を伸ばし、脚の間を少し触った。
「ほら、お前のがソファーにまで垂れてるぞ?」
「………っ…だ……って」
イッたばかりの身体はお酒が入っているせいか、いつもより―――あのクリスマスイブのときよりもさらに敏感になってる気がする。
先生の指を舐めているだけでも絶え間なく蜜が溢れ出ているのはわかってた。
「……飲み……過ぎちゃったから……、だから……」
言いわけみたいに敏感になってる理由を言うと、先生は意地悪そうに私の目を覗きこむ。
「ふぅん。酔うとさらに淫乱になるわけだ、実優は?」
「……だって……熱い……し……」
「どこが?」
「……全部」
「じゃあ―――脱がないとなぁ? 熱いなら」
ニヤッと先生が笑う。
「脱げば少しは涼しくなるだろ? ほら―――脱いでいいぞ」
先生は私から少し離れて観察するような視線を向けてきた。
……脱いでいいぞ、なんて言ってるけど、要は脱げってことだよね。
普段ならイヤって言う……だろうけど、いまはほんとに熱くって、先生の視線さえもドキドキ快感で。
私はゆっくり脱ぎ出した。
ロンTを脱いで、ずらされたブラジャーが淫らで、躊躇いながらそれも外して。
先生の視線が私の行動ひとつひとつをじっと見つめてるのに、さらに蜜が溢れていって。
先生から視線を逸らして、うつむきがちにスカートを脱ぐ。
でも―――パンツを手にかけてた迷う。
やっぱりどうしようもなく恥ずかしくなってきてしまったから。
「……いまさら、だろ?」
ふっと先生の笑う声に、私はパンツも脱ぎ去ってしまった。
ドキドキ、ドキドキ、激しく鼓動が打って、酔いと快感が全身を駆け巡る。
「涼しくなった?」
先生は私に触れる気配もなくって、ただ訊いてくる。
全部脱いじゃって恥ずかしくて心許なくって、先生の目を見れずに小さく頷く。
「そりゃよかった」
やっぱり笑うだけの先生。
「………せんせ」
「なんだ」
「………」
意地悪!! ドS!!
「熱かったんだろう? 脱いで、涼しくなってよかったじゃないか」
わざと触ってこない先生をちらりにらむ。
だけど先生は素知らぬ顔してる。
私は口を尖らせて―――先生の脚の上にまたがった。
先生と目が合って、先生が興味深そうに私の行動を眺めてる。
「……先生も……脱いでください」
「俺はいい」
「……私だけじゃ恥ずかしいもん……」
「いいじゃん、絶景で」
「………」
何を言っても言い負かされそうだったから、黙って先生の服の中に手を差し込んだ。
先生は黒のぴったりとしたニットシャツを着ていて、それを上に引き上げていく。
「………手、上げてください」
「イヤ」
「………」
全然協力してくれないから、無理やり脱がせた。
「で?」
先生はやっぱり意地悪く笑うだけ。
でももうこれ以上―――ズボンまで脱がせるのは抵抗がある。
だからなんとなく先生に抱きついてみた。
素肌が触れ合って、それだけで気持ちいい。
「………冷た……」
ぼそっと先生が呟いて、少し身を離して私を見下ろす。
その手が私の胸元あたりに触れた。
「―――プレゼントか?」
「……へ?」
意味がわからなくて先生が触れている先を見る。
そこには……ゆーにーちゃんからのクリスマスプレゼントのネックレスがあって。
ドキン、って胸の奥が跳ねた。
「………ぁ……」
酔いが、一気に冷める気がした。