secret 54 クリスマスパーティ・イブの夜

一瞬で舌が割り込んで、口内を舐めまわされる。
「っん、ぁ……」
酔いのせいか、のしかかってくる捺くんの身体を押し返そうとしてもあんまり力が入らなくって、深いキスにすぐに息があがってきてしまう。
逃げるようにひっこめていた舌を探られて、絡められる。
「………ん……っ!!」
ぴくん、と身体が震えた。
捺くんの手が服の上から胸に触れてきて、たったそれだけなのに、いつもよりも過敏に反応してしまう。
それに気づいたらしい捺くんがキスをやめて私を見つめた。
その状態で胸を揉んでくる。
「っや! 捺くんっ、だめっ!!」
ジタバタ足を動かすけど、捺くんはびくともせずに目を細める。
「実優ちゃん、覚えてる? この前覚悟しておいてね、って言ったの」
この前、って……。
……お弁当を二人っきりで食べた時、だよね。
「オレね、思うんだけど。身体の相性も大事だと思うんだよね? そりゃ心が一番だけど、身体……ようはエッチだって気持ちいいって思える相手のほうがいいでしょ?
好きでも相性悪かったら、ちょっと微妙じゃない?」
「……好き……なら……べつ…に……っ、ぁ…んっ」
胸を揉んでいた手が、蕾の場所を確認したように動きを止めて、つねってきた。
今日はロングの白のニットワンピースにトレンカ。
それだけ―――、だから、なんとなく心許ない。
脱がされたら、そりゃ下にキャミソールは着てるけど、あっというまに全裸にされちゃいそうな気がする。
目の前の可愛い顔をした狼さんは、あっというまに脱がしてくる気が、絶対する!
「実優ちゃん、可愛い。もう立ってきてるよ、乳首」
あっさりと恥ずかしいことを捺くんが言って、私は酔いのせいだけじゃなく顔を赤くした。
「捺、くんっ!」
「実優ちゃんは真面目だから、相性とか気にしないかもしれないけど。でもさ、実際シてみたら」
捺くんの目が、キラリと光ったような気がした。
「気持ちよくって、好きになっちゃう可能性もあるでしょ? 好きにならなくっても、テクがよかったらプラスにはなってもマイナスにはならないと思うし。
まぁ、前も言ったけど、メンタルだけじゃなくって、身体のほうも攻めたいんだよね、オレ。だって、心と身体全部で実優ちゃんでしょ?」
なんか妙に説得力がある気がする。
でも今はお酒のせいで自分の思考力がダメダメになってるってことはよくわかってるから。
どう返答すればいいのかわからなかったけど、必死に首を振って、逃げだそうとした。
でも、またあっさりキスされて、捺くんの手がワンピの裾から太ももへと這ってきた。
「んん……っ、……っん」
熱く絡みつく舌に、もともと酔いで火照っていた身体がますます熱を帯びてく。
キスを続けながら、捺くんの手は掌全体で太ももを撫でまわす。
そして躊躇いなく脚の間に触れた。
それも突起のあたりをグリグリと押すようにして。
「ぁ…っ、んっ」
トレンカだってパンツだって履いてるのに。
布越しなのに、びくんって腰が跳ねた。
いつもと違う。
ドキドキドキって、心臓がすごい速く動いてるのがわかる。
どうしよう。
いつもより、いつも以上に―――感じちゃってる。
「お酒が入ってるから、敏感でしょ? カラダ」
ほんの少し唇を離した捺くんが笑いながら言って、首筋に顔を埋めてきた。
舌で首をなぞられて、グリグリと強く突起を押されて、身体がゾクゾクッってする。
お酒の、せいなの?
捺くんが言ったとおりに、ちょっとした捺くんの動きに、過剰反応してる私のカラダ。
「とりあえず、脱ごうか?」
「……っ、や…ぁ、捺くん…っ」
トレンカを脱がされそうになって抵抗したら、捺くんは離れてくれた。
「わかった」
にこって笑う捺くんに、一瞬やめてくれるのかな?なんてありえないことを考えてしまった私。
だけどもちろんそんなはずなくって。
「大丈夫、実優ちゃん、オレも脱ぐから」
なにが大丈夫なのか、よくわかんないけど、言うなり捺くんはあっという間に上半身裸になった。
やっぱり見た目美少年な印象とは違って、結構筋肉質で綺麗な身体をしてた。
「じゃ、次は実優ちゃんね」
「……えっ、……あ、やっ」
止める暇もなくって、ずるずるトレンカを脱がされた。
そのはずみでワンピの裾がめくれて太ももまで露わになってしまってて、すごく恥ずかしい。
だから裾をさげようって手を伸ばしたけど、捺くんの片手がそれを止めて、もう片方の手が裾をさらにまくしあげてきた。
肌が空気にふれる範囲がどんどん広くなっていって、すごく焦る。
でもどうすればいいのかって、考える余裕がない。
だって気をぬいたら脱力しちゃいそうなくらいに、身体が重くってしかたないから。
お酒……あんなに飲むんじゃなかったよー!!
「きれいな肌。すべすべだね」
ちゅ、って捺くんが私のおへそあたりにキスしてきた。
「んっ」
むずがゆい感覚に身をよじると、さらに捺くんは舌でお腹を舐めてくる。
「ゃ…んっ、捺くん、だめ……だよっ」
「でも実優ちゃん、頑張っていいって言ったよね」
「それは……ぁ…っ!」
舌がパンツぎりぎりのところまで下がってきた。
「んー、上着たまま下脱がすってのもエロくていいけど。とりあえず実優ちゃんの全部を先に見たいからなぁ」
「………」
たぶん独り言、だと思う。
身体を起こした捺くんが、私を見下ろしながらボソボソ言ってるから。
ていうか……やっぱりどこかのエロ教師を思い出すんだけど!?
男の人って……みんなこうなのかな。
なんて、ぼうっとバカなことを考えてたら、捺くんに身体をひっぱり起こされて、「バンザーイ」っていう掛け声とともに、ニットワンピースを脱がされてしまった。
ニットワンピースに引きずられるようにして、キャミソールまで脱げてしまった。
暖房が効いてるから寒くはないけど、下着だけっていうのはすごく心細い。
「下着も白なんだね、可愛い」
捺くんはまた私を押し倒しながら、ブラジャーの上から胸を揉みはじめる。
途端にビクビクって身体が震えてしまう。
「や…ぁ……っ!」
身じろぎすると、捺くんの手が素早くブラジャーのホックを外した。
胸が解放されて、慌てて隠そうと思って手を持って行くんだけど、すぐに押さえ付けられる。
浮いたブラジャーを器用に口でずらした捺くんの視線が胸にそそがれて、
「乳首、ピンクで美味しそう。こんなにつんつん勃たせて、そんなに食べて欲しいの?」
「ちがっ」
にこにこ笑って、優しい口調で言う捺くんだけど、その眼は色っぽく……そして楽しそうに光ってる。
「っん、やあっ、あんっ」
捺くんが胸の蕾を口に含んだ。
舌で転がされて、硬くなった蕾がますます反応して勃ってしまう。
「っあ…ん…やあ……、だめ…っ」
ゾクゾク、ビクビク。
蕾を片方弄られてるだけなのに変に気持ち良すぎて、怖い。
「もう片方も弄ってあげるね?」
そう言った捺くんの手が伸びてきた。
「っ! あんっ!!」
ぎりっと強めに蕾をつねられた。
ちょっと痛いのに、ビリっと快感が背筋に走る。
目を潤ませて捺くんを見ると、蕾を口に含んだまま上目遣いで視線を合わせてくる。
チュプ、とわざと音を立てながら捺くんは蕾を吸ったり舐めたり。
もう片方もコリコリと弄られ続けて。
「ゃ……ぁ、っあ、んっ……」
ムズムズと身体の芯が震えて、アソコが熱く潤っていくのを感じる。
「声、エロい……。まじでカワイイね……実優ちゃん」
んな可愛い声聞かせられたら、食い付くしたくなっちゃうよ。
なんて、恐ろしいことを捺くんは笑いながら言って、私の脚を大きく開かせた。
そして捺くんの指が布越しに中心に触れてきた。
グリグリと薄いパンツに阻まれながらも、侵入するように、押し込むように、突き刺してくる。
「んっ、ゃあっ」
たったそれだけなのに、揺れてしまう身体。
「ぐっしょり濡れちゃってるね。気持ちいい?」
気持ちいい。
っていうか、変に気持ち良すぎる。
頭がクラクラしてて、全身がドクドク脈打ってて、疼いてて、考える力がなくなっていっちゃう。