secret 5 隣の席は金髪少年

転校してきて3日。
初日の放課後にあった松原先生との…秘め事…ていうか、危うく襲われ…いや襲われたことがまるでウソみたいに平穏な毎日。
連絡はないし、松原先生は二年生担当みたいで姿を見ることもない。
とりあえずホッと安心してる。
学校生活も近い席の子たち中心に友達もでできてきて、この学園で楽しくやっていけそうって思えてきたんだ。
「実優ちゃん、お昼は食堂に行かない? まだ行ったことないでしょ」
そう声をかけてくれたのは前の席の三谷七香ちゃん。
七香ちゃんは気さくでとっても面倒見がよくて、いつも私のことを気にかけてくれてる。
「うん! 食堂行く! オススメメニューってあるの?」
「えっとねえ、オムライスかな♪ 卵ふわふわで美味しいんだよ〜」
「じゃあ私それにする〜!」
「あはは。実優ちゃん、気が早い」
「早くお昼にならないかな〜」
授業と授業の間の10分間の休み時間。
そんな他愛ない話を楽しんでいたら急に騒がしかった教室の空気が変わった。
周りのみんなは普通にお喋りしてる子もいるけど、ちょっと緊張したように声を潜めてる子もいる。
なんだろう?
そう思ったとき、すぐ隣でバタンって音がした。
見ると、私が転校してきてから今日まで誰も座ってなかった席に男の子が座ってた。
とっても目立つ金色の髪。
胸元3つはボタンがあけてあってシルバーネックレスが覗いている。
ピアスは3つ。
格好はかなりチャラいのに顔つきは精悍で整ってる。
ヤンキーかな?
「おはよー、ユタカ」
怯みもしてない様子で声をかけたのは七香ちゃん。
ユタカくんはチラリ七香ちゃんを見るけど、返事はしない。
そんなユタカくんが七香ちゃんから視線を移動させて……私と目があった。
「誰」
「そっかあ、ユタカ今週ずっと来てなかったもんね。転校生だよ〜」
「橘実優です。はじめまして」
ぺこりと挨拶する。
ユタカくんはやっぱり返事はない。
「実優ちゃん、こいつはユタカ…。湯高和明。ヤンチャ少年よ」
七香ちゃんはケタケタ笑いながら紹介してくれた。
ユタカって名字だったんだ。