secret 47 終業式と保健室

ううん、勘違い―――しかけてる。
私を抱きしめて、包み込む身体。
同級生の男の子たちとは違う、完成された大人のカラダ。
先生が何歳か、私は知らない。
でもゆーにーちゃんと同じくらいじゃないかなって思う。
子供の私なんか、簡単に翻弄できる、大人の男。
だから。
勘違いしちゃう。
違うのに。
ゆーにーちゃんじゃないのに。
グチュ、グチュッ。
粘着質な愛液をまきちらしながら、激しく私のナカをかき回す硬くて熱いモノ。
「っあ! あんっ…ぁ、っ、あ…っん」
両足を畳まれて、胸に押し付けられて、ズチュッズチュッと叩きつけるように打ち付けられる。
「い……ぃっ…、きもち……い…いっ…、は……んっ」
「実優……もっと気持ちよくなって」
優しい声に、頭がどうしようもないくらいクラクラして、手を伸ばす。
「だ……きし…めてっ」
掠れた声で言えば、ぐいっと両腕を引かれた。
抱き起こされて、またがった形で、下から突かれる。
ぎゅっと抱きしめられて、抱きしめ返しながら、逞しい胸板に頬を寄せて。
「いっちゃ……う……、ぁっ! あ…んっ!」
「イッていいよ」
「いっしょ……に……イって?」
「………。あぁ……わかった」
一層強さを増す突き上げ。
パシッパシッ。肌と肌がぶつかる音が響いて。
ぐちゅぐちゅっ。
掻きだされた蜜が身体をシーツを濡らしていって、昇り詰めていく。
「……ッ」
小さな呻きと、ナカでひと際大きく膨張するのを感じた。
「あ…っ。あ…っ、はっ……んんっ!! はなさ……ないで…っ」
ガクガクと腰を震わせて、身体にぎゅっとがみつきながら、叫んだ。
「ずっと、はなさ、ないでっ……。いっしょ……に…い……てっ……ッあ! あぁっんっ!!!」
頭の中がスパークして、強い絶頂を迎えた。
きつく締めつけた膣内に、ナカにあったモノが熱を放つのがわかった。



「……は…ぁ……、………?」
繋がったままの身体。
イッたばかりのお互いの身体がビクビク脈打っているのが、わかる。
甘い余韻に浸りながら、でも少しづつ冷静さを取り戻しながら。
違和感を覚えた。
あれ………わたし?
違和感の正体がわかってるようでわかってなくって、ぼんやり見上げて、
「………あ……」
ようやく、我に返った。
抱きしめて、私のナカにいるのは―――先生。
そう、最初から最後まで、先生。
それなのに、さっきイク寸前から……間違ってた。
先生がゆーにーちゃんみたいに、優しかったから、ゆーにーちゃんに抱かれてるって、勘違いしてた。
しかも……なんかすごい恥ずかしいこと口走っちゃった気がするし……。
恥ずかしくって、うつむいた。
「…………大丈夫か」
問いかけてきた声は、いつもの先生の声だった。
変に思われてないか、心配だったけど、もう一度見上げた先生の表情はとくに変わった様子はなかったからほっとして頷いた。
「抜くぞ?」
「……っあん」
ずちゅっ、と愛液を纏った先生のモノが出ていく。
先生はベッドから降りて、カーテンの向こう側に行った。
たぶん後処理をしてるんだろう。
私は気だるくってベッドに寝転がる。
裸のままだけど、動く気力がない。
「おい」
少しして戻ってきた先生の手にはタオル。
私の傍に腰掛けて、そのタオルで私の身体を拭きだした。
「あったかい……」
わざわざお湯で絞ってきたらしいタオルは熱くって、心地いい。
もうなんとなく慣れてしまって、黙って先生に全身を拭いてもらった。
「………お前さ」
脚を拭いてくれてた先生がふいに呟いた。
「はい?」
先生を見るけど、先生は私を見ない。
なんだろ?
「………なんでもない」
ため息をついて、先生は首を振った。
「え? なんですか? 気になるんですけどっ!」
「……………実優はやっぱりエロかった、って確信したってだけだよ」
私のほうに視線を向けた先生が、ニヤッて笑って言う。
「……うーっ……。いいですよ、もー。エロくっていいもん。先生のほうが変態だし!」
「ああ? お前、まだシたりないわけか? あー、そういやまだ残ってたな? 全身縛りのソフトSM」
「え、え? 嘘ですっ! なにも言ってませんー!!」
「ふんっ。ま、それは今度でいい。俺まだ仕事残ってるしな」
「今度って……」
「お前、帰り大丈夫か?」
「たぶん。もうちょっと休んでから帰っていいですか?」
「ああ。タクシー代だしてやるから、タクシーで帰れ。俺先に戻るけど、メールくれれば校門のところまでタクシー来るように呼んでやるから」
「えっ。いいですよ!」
「いーから。言うこと聞いておけ」
「……はい」
命令調で言われて、しぶしぶ頷いた。
それから先生は、「ちゃんと宿題しろよ」って言って、保健室を出て行った。
明らかに情事のあとが残ったシーツは……あとでちゃんと換えておくんだそうだ。
ほんと、用意周到っていうかなんていうか。
私は30分くらいまどろんでから帰り支度をしたのだった。