secret 44 終業式と保健室

キスはすぐに深くなって先生の舌が熱く絡みついてくる。
「っ…ん……」
どうしてか、いつもよりドキドキしてる。
このシチュエーションのせいなのかな……。
「橘……」
真剣な先生の顔。
もちろん演技ってわかってるんだけど、やっぱりドキドキしちゃう。
どういう対応しようかなって考えてると先生が制服をめくりあげてきた。
ブラジャーが丸見えになってしまう。
「せ、先生」
とっさに胸を隠すように手で覆うと、一瞬黒い笑みを見せる先生。
………先生……、素が見えてます。
「橘、俺に見せて……全部」
わざとらしい演技を再開しながら先生が私の手を胸元からはぎ取ってベッドにぬいつけるように押さえた。
そして身体に舌を這わせてきた。
まだブラジャーをつけたままの胸や、お腹、首筋。
見えている部分の肌を舐めてたまに吸いついたりしてくる。
「っ……ぁ……っ」
そんなに強い刺激じゃないはずなのに、身体がむずむずする。
アソコが痺れるように疼いてくるのを感じた。
チュッ、チュッとリップ音が静かな室内に響いてる。
胸元から首筋へ、そして耳にかけて唇が落とされていく。
「ぁ……ん…」
くすぐったいような、でも気持ち良くて身じろぎすると先生が顔を覗き込んでくる。
「大丈夫か…?」
先生はどっぷりこのシチュエーションに入ってるのか、優しい。
「お前のことが好きすぎて押し倒したが……。いやならこれ以上はしないから」
「………」
「どうする?」
私を気遣うような優しい声だけど…眼は笑って私を見下ろしてる。
「このまま進めていいなら……足開いて?」
………この…ドS!
じゃあ、やめてください帰りますって、そう言いたいけど……言えない。
もう何回も先生とは身体を重ねてて、身体が勝手に反応してるって…わかるから。
悔しくて涙目ににらむと、先生は少し笑って耳元で囁いた。
「橘……ずっと好きだった……。だから」
低く熱っぽく言われると、嘘ってわかっててもドキドキしちゃう。
「だから、足、開け」
「………ヤダ」
せっかくドキドキしたのに!
ときめきを返せ!
先生のばか!って口を尖らせると、思いっきり舌打ちされて、次の瞬間には大きく足を広げられた。
先生は私の開いた脚の片方を持ち上げると、舌を這わせた。
ゆっくり太ももを伝って、脚の付け根ギリギリまで舐める。
「…っ……」
でも中心にはまったく触れずに、もう片方の脚を持ち上げて、今度は付け根から舐めていく。
わざと舌を見せて、舐めていくその動作が、妙に卑猥に見えてアソコがじんじんする。
「……せ、んせ…い」
もどかしくって呼ぶけど、先生は「どうした、橘?」って、わざとらしいお芝居をつづけている。
「先生、無理やりなんてひどいことできないからさ。橘がしてほしいことだけ言ってくれれば、するよ」
作られた笑みを向けられて、ぎゅっと唇を噛み締めた。
せ、先生のばかっ!
たぶん、言わないと、先生はなにもしないつもりなんだろう。
表面だけ、舐め続けそう。
「……先生っ」
「ん?」
「わ、私だって……生徒の立場で先生相手にしてほしいことなんて言えるわけないですっ! も、もし先生が私のこと好きならっ…、その……自由に、してください……」
先生の自由に、好きにしていい。
なんて、普段なら絶対言わないけどっ。
この状況で泣き寝入りなんていやだから、とりあえず先生のお芝居に乗りつつ言ってみた。
先生から触らせるように、仕向けるために。
先生は、眉を寄せる。
じーっと見つめられて、緊張しちゃう。
先生がどう反応するのか、怖くって……。
「……そうだな。無理やり、がお好みって言ってたもんなぁ」
にやり、と先生が笑った。
どう考えてもブラックすぎる先生の笑みに……やっぱり反抗なんてするんじゃなかったかな、って思った。
「んじゃ、愛しの橘……実優ちゃん。俺の命令、聞いてね?」
「………え」
先生は私の脚から手を離すと――――。
「パンツ脱いで、股広げて、自分でシて?」
満面の笑みで、言ってのけた。





「………え」
「無理やり、ってことは、命令されればするってことだろう? 君のこと大好きな先生に、君が気持ちよくなってるところ、見せて?」
「……え?」
いや、あのそういう意味で言ったんじゃなくってって、そう思うんだけど。
「全身縛ってソフトSM」
ぼそり、先生が呟いたので……私は慌てて身体を起こすと、パンツを脱いだ……。
でも、どうしよう。
パンツは脱いだけど、脚を広げきれない。
だって広げたら先生に丸見えだし。
っていうか、自分でシてっていうのは……あれのことだよねぇ。
うー……。
「実優。見ててあげるから、ほら」
にっこりとした笑顔の先生。
口調は優しいけど、言ってる言葉は優しくなんてない。
眼は『逃げるなよ』とでもいうように向けてきてるし。
ごくん、って唾を飲み込んで、気持ちを落ち着かせて。
私は立てた膝を少しづつ広げていった。
そりゃ何回も……見られてるわけだけど、自分で開くとなると相当恥ずかしい。
顔が熱くてたまらない。
肩幅ぐらいまで広げるのが限界だった。
もっと開けとか言われるかなって思ったけど、先生はなにも言わなかった。
ただじーっとアソコを見下ろしている。
スカートで陰になってるけど室内は明るいし見えてないはずない。
「実優、触らないのか?」
「……せんせぃ」
どうしても恥ずかしくて、先生に泣きつく。
先生はため息をつくと「仕方ないな」
と言って、私の手を掴んだ。
その手を中心に持っていく。
「やだっ、先生っ」
先生と私の手が重なって、アソコに触れる。
瞬間、クチュって水音が、響いた。