secret 27 金曜日はパラダイス!?

「おい、生きてるか?」
後始末を終えたらしい先生が苦笑混じりに頭を撫でてくる。
私は床にうつ伏せたまま、小さく頷く。
「ぐったりだな」
笑いながら先生が私を抱き上げた。
ソファーに座って膝枕をしてくれる先生。
「ほら、飲め」
ミネラルウォーターのペットボトルにストローをさした状態で渡してくれた。
飲むとよく冷えてて火照りきった身体に心地いい。
ごくごくと半分くらい一気に飲んで、深いため息を吐いた。
「落ちついた?」
テレビのチャンネルを変えていた先生が、また私の髪を優しく撫でる。
「はい…」
上を見上げれば先生の顔。
………イケメンて下から見てもイケメンなんだ。
なんか悔しいな。
さっきのエッチで乱れまくって疲れたのは私だけで、先生は涼しい顔でビール飲んでるし。
「なんだよ」
視線を感じたのか、見下ろす先生。
「……いえ、先生ってアフターフォロー完璧だなって思って」
私だけ乱れすぎて悔しいなんて言ったら、なんかダメな気がする。
だからとっさに違うこと、でも気になってたことを聞いてみた。
「あ?」
「その…なんか先生みたいなタイプってエッチ終わったらポイって感じなのかな〜って…思ったから」
機嫌が悪くなるんじゃないかなって、ちょっと心配になりながら恐る恐る言う。
でも先生は「あぁ」と小さく笑った。
「一回限りの女ならポイだな。続けるなら、それなりに優しくする。女はなにかとうるさいからな」
「……あの」
「なんだ?」
「……私って」
なんかイヤなことを聞いてしまった気がする。
つ…続けるならって……。
先生は私の気持ちに気づいたのか、ニヤリ口角を上げる。
「もう何回もヤってていまさら? とっくに了解済だと思ってたぞ」
「えぇ……それって」
「セフレだろ。それともお前、俺のこと好きなのか?」
「まさか!」
「…………いい度胸だな」
「あ……すみません」
「別に。どうせお前は元カレ引きずってるとかだろ?」
さらりと言われた言葉に、びっくりしてポカンとしてしまう。
え?
な、なんで……。
「わかったんですか?」
「なんとなく。俺、意外に女心わかる男」
「ウソくさ……」
「あ?」
「い、いえ。でも先生って恋愛経験豊富そうですもんね」
かなりモテるだろうし。
「まあ。付き合った女はいっぱいいるが、惚れた女はいないけどな」
「えっ!? ……あー、でもなんか納得」
なんかわかる気がして頷くと、鋭い睨みが降ってきて身を竦ませた。
「……でも……好きな人とするエッチって…ほんと気持ちいいですよ」
昔を思い出して……少し切なくなる。
「女はよくそう言う」
「……」
「セックスなんてゲームだろ。イかせてイって、二人で気持ちよくなれるゲーム、だろ?」
言って、先生の指が私の胸をやわやわと揉んだ。
「…っ…んっ……」
グリグリと胸の蕾をこねられて、ようやく落ち着いてきてた身体が、また熱を帯びてくる。
「それに別に惚れる女探さなくても、いつかは出会うだろ。女が大好きな『運命』ってヤツがあるならな」
……確かに、そうかも。

私の運命の人は……。
もう切れた糸は戻らないのかな。

胸に与えられつづける刺激に身悶えながら、頭の端でぼんやり海の向こうにいる“あの人”のことを、想った。