secret 16 5時間目も波乱万丈!?

授業サボっちゃった……。
ため息をつきながら仕方なく先生のイスに座る。
とくにすることもなくって携帯を取り出すと、七香ちゃんと捺くんから『大丈夫?』と心配するメールが届いていた。
もう授業は始まってたけど、
『ちょっと体調悪くって保健室に来てます。ちょっと寝れば治ると思うから、次の授業前には戻るね』
返事だけはしておいた。
授業中なのに、すぐに返事はきた……。
2人ともやっぱり心配してくれるメールで、申し訳ない気持ちになっちゃった。
だって具合悪くもないし。
しかも……エッチして疲れて、授業サボっちゃうなんて……。
そんなこと誰にも言えないよね。
っていうか、さっき声大丈夫だったかな……。
聞かれてたらマズイよね。
でも先生なにも言ってなかったし、大丈夫だよね……?
あ! そうだ!
先生に鍵かけておけって言われたんだった。
去り際に言った先生の言葉を思い出して、私は鍵を締めにドアの前まで行った。
内鍵に手を伸ばした瞬間。
ガラリ―――、ドアが開いた。
「…………え?」
入ってくる見知った人に怪訝に視線を向ける。
どうしたの、って言いたいんだけど、無表情の“カレ”に、どうしてか怖さを感じた。
ガチャリ、鍵のかかる音が聞こえてきた。
なんで、締めるの?
「…………和くん?」
じっと私を見下ろしている―――和くんに、ようやく私は呼びかけた。
だけど和くんはなにも言わなくって、しばらく重苦しい沈黙が流れてた。
それを破ったのは、和くんだった。
「松原と付き合ってるのか?」
「へ?」
松原って誰だっけ? 
一瞬、そう考えて、先生のことだって気付く。
「……せ、先生と!? え? 私が?? なんで! そんなことないよー!?」
先生と付き合うなんて、そんな恐ろしい話しあるわけない。
先生のカノジョなんてなったら毎日毎日エッチなことばっかりされそうだもん。
絶対寿命縮まる!!!!
「付き合ってないのか?」
少し驚いたように和くんが目を見開いている。
「うん! あたりまえだよ〜。だって先生だよ?」
ないないないー!、って私は手をぶんぶん振った。
苦笑いしかできない私の目の前の和くんは、私とは対照的にどんどん表情が険しくなっていく。
な、なんだろ。
どうしたのかな?
ああ……! そういえば私和くん追いかけてきたんだったんだ!
和くんにどうしたのか聞か―――………。

「付き合ってもないのに、あんなことするんだ?」

皮肉気に笑った和くんの目は怒ってるように見えて、私は考えるのをやめた。
「……あんなこと?」
「お前、ここで松原となにしてたんだ? ………喘ぎ声なんて、上げて」
冷たく、和くんが言った。