番外編 七香ツアーズin松原邸  

こんにちわ! 私、三谷七香。みさなまよろしく!
ピッチピチの高二でーす。
今日は友達の羽純と、バカコンビのユタカ(みんなからは和って呼ばれてるけど)・捺と、友達の実優の家へ遊びに行ってるんだ。
最近引っ越したらしいんだけど、その引っ越し先がさー!!
新しい彼氏んちみたいなんだけど!!!
その彼氏ってのが、この前までうちの学校で教師してた松原なんだよね!
いやもうほんと、びっくりしたね。
実優が恋のことで悩んでるっていうのは気づいてたんだけど、まさかまさかその相手が松原なんてー!!
だってさ、松原っていうのは冷血教師って有名なやつだったんだよ。
まぁ私は直接習ったことはないんだけどー。
それがさー、まさか実優と付き合ってるだなんて!
だってだってだって! 実優だよ!?
実優ってね、なんてーの? 小動物系? ほわんとして可愛くって、天然で。
華奢なくせにイイ身体してるし!(って、私オヤジっぽい!?)
そんな可愛い実優が、イケメンだけど無表情な松原と付き合ってるなんて……。
いったいなに話してんだろ??
あの松原でも実優には笑ったりするのかな?
あー! 気になる!
でも今日はそれがはっきりするんだよね。
松原もいるらしいから、ラブラブカップルぶりを見れるかも!
めちゃくちゃ楽しみー!!!
それからルンルン気分で羽純と喋りながら私たちは松原のマンションに辿りついた。









「すっご……」
ぽかーんとしちゃうね、いやほんと。
目の前の高層マンションを目を点にして眺めてしまう。
「松原って金持ちなんだな」
ぼそっと和が言った。
うん、だってさ、いわゆる高級マンションってやつ。
実優が住んでたところも新築マンションでキレイだったけど、なんか松原のマンションはなんだろ。ゴージャスな感じ?
そういや松原ってうちの学校の理事長の孫だったなー、なんて思いながらキッラキラしてるエントランスに入ってピンポーンとドアフォンを押した。
『はーい』
「こんにちわ」
なんかこの挨拶する瞬間って照れない?
私だけ?
『今開けるね』
いつもよりちょっと余所行きでにこにこしてたら、可愛い実優の声がしてオートロックが解除された。
そしてみんなでエレベーターに乗り込む。
「あー、なんかドキドキする!」
「お前がドキドキしてどうすんだよ」
楽しみでしかたなくって胸を押さえてみたら、捺が白けた眼を向けてくる。
っとに、こいつは……。
「ウルサイ」
軽く捺を睨みつけると、やつはツーンと顔を背けた。
っとに、こいつはぁ……。
捺もユタカも実優がいないと、ほんっとに白けたやつらなんだから。
ていうかさぁ。私みたいな可愛い女の子が傍にいるんだから、もうちょい楽しそうにしろっていうんだよねぇ。
そりゃ実優のほうが可愛いけどさぁ。
あー、それにしてもあの二人眉間にしわ寄ってるよー。
ま、諦めたとは言っても複雑なんだろうなー。
ううう〜!! めっちゃ楽しみ!
実優と松原見て、どんな反応するんだろう〜。
なーんて、私ってば鬼畜?
「七ちゃん、余計な妄想は置いて? もう着いたからね」
「………」
ニヤニヤ考えてたら、にっこり笑顔で羽純が私を引っ張ってエレベーターから降りた。
なんか羽純って……ほんとになんか結構言うよね!?
羽純に引っ張られたまま松原の部屋の前に到着した。