secret 11 和くんと美少年

お友達は大きな声で笑いながら、
「面白いね!」
って言ってくる。
私―――だよね?
「………え、あ。はい?」
「……捺。こいつ天然だから」
和くんが戸惑う私を指さす。
「……え!? 天然!?」
「うん! そうそう! ね、実優ちゃんって呼んでいい? オレは向井捺」
捺くんはとってもフレンドリーな人みたいで、満面の笑顔。
その笑顔がまた可愛くってちょっとニヤけちゃう私……。
「いいよ。好きに呼んでね。私も捺くんって呼んでいい?」
「もちろん」
「よかった」
「それにしても和にこんな可愛い知り合いがいるなんて思わなかった」
……いや、あなたのほうが可愛いんですけど。
社交辞令にしてもほめられたのが恥ずかしくってなんとなく和くんのほうを見る。
「和くん?」
なぜか不機嫌そうな表情をしている和くん。
「あ?」
声も機嫌悪そうな感じで、少し怖い。
どうしたんだろう? さっきまでは普通だったのに。
「……和。お前ヤキモ……ッ」
捺くんがなにか言いかけて、途中で和くんが捺くんに肘鉄した。
「ったー!!」
「だ、大丈夫?」
焦る私に「平気だよ」って笑う捺くん。
和くんはまだ不機嫌そうな表情のままで……。
私なにかしたかな?
不安になって、取り繕うように和くんに話しかけた。
「あ、あのね! さっき和くんに紹介してもらった美容室行ってきたんだよ! ほら、髪きれいに染まってるでしょ?」
和くんは私を見て少しだけ笑ってくれた。
ホッとしてると、
「似合う」
ぼそっと、呟くのが聞こえてきて、
「ありがとう」
笑顔で返した。
「……実優ちゃんって、可愛いし、いい子なんだね」
「へ?」
なぜか捺くんがすごくキラキラした笑顔を浮かべてる。
「和には悪いけど」
オレね、と捺くんははにかむようにほんの少し頬をそめた。
「さっき実優ちゃんと目が合ったでしょ?」
「うん」
「そのときね、一目ぼれしちゃったみたい」
さらっとなんでもないことみたいに捺くんが言った。
「…………一目……?」
「一目惚れ。よーするに実優ちゃんのこと好きになっちゃったみたいってこと!」
「…………は?」
ぽかんと女の子なのに、大きく口を開けて捺くんをまじまじ見る。
「よろしくね、実優ちゃん」
捺くんはそう言って私の手を握るとぶんぶん握手してきた。
私はどうリアクションしていいのかわかんなくって、ただぎこちなく笑顔を作ってた。
ちらり助けを求めるように和くんを見る。
和くんはまた不機嫌そうになってて、そっぽを向いていた。

………えっと

どうしましょう?