secret 10 和くんと美少年

土曜日。
今日は朝から和くんに教えてもらった美容室に行ってカラーをしてもらった。
和くん行きつけのお店はとってもオシャレで、そしてとってもキレイに髪がカラーリングできて大満足。
ダークブランだったのを、それよりほんのちょっとだけオレンジ系のブラウンに。
カットもしてもらって、休日だしオシャレして帰ってね、って担当のお姉さんが髪を巻いてくれて。
もう何度も鏡を見ちゃうくらいに嬉しい。
身も心も軽くってウキウキ歩いていたら、
「和くん……?」
通りを挟んで向かいの道路にお友達と一緒に歩いているのを発見。
街中で偶然会うなんて!
声かけたいなぁって思うけど、友達と一緒だったら迷惑かなって思っちゃう。
どうしようかな。
立ち止まってじーっと和くんのほうを見てた。
あ。
目が合った。
和くんじゃなくってお友達のほう。
びっくりした。
だって遠目にもわかるほど可愛らしい顔をした男の子。
……男の子だよね。
和くんと身長変わらないみたいだし。
その男の子と目が合ったまま数秒。
その子がなにか和くんに耳打ちしていた。そして和くんが私のほうを見た。
あ、って感じで驚いている和くん。
それを見てお友達はきょとんとしてる。
とりあえず笑顔で手を振ってみた。
和くんは軽く手を上げて………。
………ん? 待て?
そんな感じで手を止めていた。
なんだろう?
首を傾げてたら和くんとお友達が道路を渡ってきた。
「よぉ」
和くんはジーンズに黒のダウンジャケット。
ちょっと光沢がある、でもやすっぽくないダウンがよく似合っててかっこいい。
「和くん! こんなところで会うなんて偶然だね!」
「ああ」
「……和」
嬉しくってニコニコ話しかけてると、お友達が和くんの袖を引っ張ってる。
改めて間近で見るとやっぱり女の子みたいに可愛い男の子だった。
男の子なのに肌とかきれいで目もおっきくってぱっちり二重で。
か、可愛い…っ
「だれ?」
「クラスメイト」
二人の会話が聞こえてきて、あわてて会釈した。
「はじめましてっ。橘実優です。和くんの隣の席のものですっ! いつもお世話になってます!」
「………」
「……ぶっ」
なぜかお友達が吹き出した。