らぶらぶでいきましょう♪ 6

「おい、実優」
サングラスを外しながら先生がじっと私を見下ろしてくる。
やっぱり不機嫌っぽい目をしてて、嫌な予感をひしひし感じる。
「……はい?」
「俺の格好はともかく」
……ともかく、なの?
そう突っ込みたかったけど、先生の負のオーラになにも言えずにいると冷たく口角を上げた。
「お前のその格好は、なんだ?」
スカートのすそを少し持ち上げて睨んでくる先生にへらっと笑顔を作る。
「………か、かわいい?」
首をちょっと傾けて上目遣いに先生を見てみた。
だけど先生は眉を寄せてさらに不機嫌モードになってしまった。
「………」
「………」
ど、どうしよう!?
「お前、普通の喫茶店だと言ってなかったか?」
「え、う、うん。この衣装は……その羽純ちゃんが……」
ごめん、羽純ちゃん!
って心の中で思いながら、私に非はないんだよ、ってアピールしてみる。
「………また佐伯か」
先生は苦々しくため息をつくと、私の身体を上から下までじろじろ見て、またさらに眉を寄せてしまう。
「で?」
「え?」
「なんでもオプションサービスもあるらしいじゃないか。どんなオプションだ?」
「………」
「………」
「……えー……っと」
なんだか言ったらやばい気がする。
なんだか絶対やばい気がする!
先生から視線を外して考えてるふりをするけど、じーって穴が開いちゃうじゃないかってくらいに先生の視線が突き刺さってくる。
「え、えと、えーと。あーんしてあげたり、頭なでなでとか、ほっぺ撫で撫でとか、肩たたき30秒とか……」
「それだけか?」
「………」
「実優?」
「……にゃん語とか……、いろいろ」
「言ってみろ」
「は?」
「今日客に言ったにゃん語とやらを言ってみろ」
「………」
「………」
「えー……と」
「………」
「……実優がぎゅーしてあげるにゃん……、みたいなー……」
実際はぎゅーなんてしてない!
言葉オプションで言うだけで終わりで、指一本触れてない。
言って、ぎゅーってされそうになったのはあったけど、すぐに和くんが助けてくれたし。
だけど、先生の表情は鬼みたいになっちゃってしまってる。
「……へぇ。ずいぶんサービスのいい店だなぁ?」
本当に……よくあの喫茶店企画が通ったなって思う。
絶対裏で羽純ちゃんがなにかしてるんだろうけど。
「じゃあ俺にもサービスしてくれるんだろう?」
いつもより低い声で言うと、先生は私の顎を掴み上げて目を覗き込んでくると笑った。
ひしひしと、ひしひしと嫌な予感がしてくる。
でも冷たくて、でも艶を含んだ先生の目が私を見つめて、捕らえてしまうから動けなくって。
ぜったいヤバ―――……い。
そう思った瞬間に、唇を塞がれていた。
「んんっ」
壁に押し付けられて強引に先生の舌が割って入ってくる。
機嫌が悪いからかちょっと乱暴なキス。
でも大好きな先生のキスだから、自然と舌を絡めてしまう。
そしてキスの中で、気づいた。
いつもと香水が違う。
このコスプレ(?)用なのかいつもよりも甘くってセクシーな感じの香り。
「……っふ、ぁ」
糸を引きながら先生の唇が離れていく。
あっというまに熱く火照る頭と身体にぼうっとしながら顔を上げると、息一つ乱してない先生がぺろりと唇を舐めていて。
「………」
なんだろう。
いつもと全然違う格好のせいかな?
さっきはやくざみたいとか思ったのに、サングラス外したら……ちょっとカッコイイかもなんて。
髪型や雰囲気や、別な香水に、妙にドキドキしてきちゃう。
「なにじーっと見てんだ」
「べ、べつに」
かっこいい、なんて言ったら絶対に調子に乗るから言わないでおこう!
だけどちょっとだけ赤くなってしまってる私のほっぺたに気づいたみたいで、先生はニヤッと笑うとキスしそうなくらいまで顔を近づけてきた。
「見惚れたか?」
「……自意識過剰……ったぁ〜い!」
すかさず頬っぺたを抓られた。
「相変わらずいい度胸だな? どうもこの前のお仕置きじゃたりなかったらしいな。無防備にエロ振りまいてるみたいだし?」
「え、えろ?! そんなもの振りまいてないよー!」
「じゃあ、さっきのはなんだ? こんな短いスカート履いて、エロ光線出して、絡んでくださいっていってるよーなもんだろうが」
「………」
だからエロ、エロってなんなのー!?
わかんないってば!
先生は鋭く睨んでくるけど、私だって別になにも悪いことしてるわけじゃないから頬をふくらましてそっぽ向いた。
「………」
「………」
お互い無言で交戦。
七香ちゃんたちは先生が"心配"してるって言ってたけど―――。
「……心配してるんだ」
ため息混じりの先生の声が落ちてきて、びっくりして顔を上げた。
思わず目をぱちぱちして見つめちゃう。
「さっきみたいな変なやつらに俺の知らないところで絡まれたりしたら助けてやれないだろ」
「………」
先生がこんなに直接的なこというなんて初めてな気がする。
ものすごく驚きで、でもすごく―――……。
「お前に触れていいのは俺だけだからな」
真剣な目をした先生がゆっくり顔を近づけて唇を触れ合わせてきた。
こつんと額をつけて、見つめ合う。
どうしよう、すごく―――嬉しい。
胸がきゅんってする。
「他の誰にも触らせるな。………こんな、生足見せるのも俺だけにしろ」
「………」
"生足"……?
「………」
「………」
無言で見つめ合う。
ちょっとだけ先生に不審な眼差しを送って。
先生は素知らぬ顔をしてまた私にキスをしてきて、深いキスをしながらスカートの中に手を滑り込ませてきた。
温かい手が太股を這って、ショーツ越しにお尻を触ってくる。
そしてショーツの中に手を入れて直接お尻を撫でながら……甘く囁いてきた。
「―――ショーツ、脱げ」
「……イヤ!」
ほんっとーに!
さっきキュンしちゃったの返せ!
変態エロ晄人ー!!!
「ぬ、脱げるわけないじゃない! ここ学校だよ!?」
「だから?」
「だからって………っん…」
お尻を触ってた手が前に移動してきて割れ目へともぐりこんでくる。
指がぬるっと滑る感触にちらり視線を上げると先生がニヤニヤしてた。
「もう濡れてるみたいだぞ?」
「……前、学校でエッチしてバレたら私に迷惑かかるみたいなこと言わなかった?」
先生が私に告白してきたとき、そんなこと言ってたんだよね。
先生は私の言葉に眉を寄せて手を止めた。
でもそれはほんの一瞬で指は蜜をさそうように割れ目をなぞってくる。
「もう教師じゃないしな。それにバレない」
「えー、なにそれ! ……あ、っ。だめっ!」
緩く浅く指をほんの少し沈めてかき回されて腰が跳ねてしまう。
「さっき、サービスするって言ったろ」
「言ってない!!」
「さっさと脱げ」
「ヤだ!」
「いいのか、このままで。濡れまくって染みがついてもいいのか? そんな下着のままうろついて転んだりしてみろ? スカートめくれて濡れてるのばれるかもな? ヤらしい下着つけて、見られたいわけだ、お前は?」
「………」
静かな口調で先生はわざとらしく呆れたように首を傾げて私を見つめる。
そう言う間もずっと指は動いてて、じわじわと奥から蜜が溢れてきてるのがわかるから―――。
「っ、も、もー!! ヘンタイっ!!」
ぐっと先生の胸に両手を押し当てて力を込めてひきはがした。
「ほら、脱げ」
口角を上げた先生はスーツの内ポケットから煙草を取り出す。
私から離れてデスクのところまで行き、端に寄りかかると煙草に火をつけた。
「禁煙!!」
「平気」
なにが平気なんだろう!
ほんっとに俺様なんだから!!
先生は手を伸ばして窓を少し開けた。
だけどそれだけじゃ煙草の煙は出ていかない。
「匂いついちゃうよ?」
「お前のヤらしい匂い消しだよ」
緩く笑いながら紫煙を吐き出して、携帯灰皿に灰を落としてる。
私はもう真っ赤になるしかできなくって立ちつくす。
「ほら、早く脱げ」
先生が言葉だけでなく目でも急かしてくる。
その目はもう完全にスイッチが入ってるから、もうどうしようもない。
「へんたい……っ」
ぼそり悔しくって呟くけど先生はせせら笑うだけ。
いつもだってかっこいいけど、嫌味なくらいに今の格好にも冷たい笑みは似合ってて、妙にドキドキしてしまう。
なんて―――……。
内心自分にもため息つきながら、おずおずとスカートの中に手を入れた。
こういうパターンは別に少なくないわけじゃないんだけど、今日は文化祭で、窓からはにぎやかなざわめきが入り込んできてるのに、こんなところで下着を脱ごうとしているのがものすごく恥ずかしくっていつもより手間取ってしまう。
先生にはそういう戸惑いもお見通しなんだろうけど……。
「実優」
駄目押しとばかりに名前を呼ばれて、仕方なく下着を引き下ろしていく。
ゆっくりと片足づつ脚を通して脱いでいく。
脱いで改めて思うけどスカート短い、短すぎる!
ちょっとでも動いたら丸見えになりそう―――で下手に動けない。
ショーツを片手に握りしめながらスカートの端を押さえた。
熱くなる頬を本当は押さえたいけどできないから、唇を噛んで先生に視線を向ける。
相変わらずの変態先生はずっと視姦するように脱ぐところを見てた。
「来い」
そしてちょっと低い、欲に溢れた声で私を呼んだ。