Dark Moment 4

「モノ欲しそうな顔してんじゃねーよ」
実優のせいにして、いつも以上に猛ってる自身を実優の秘部に擦りつけた。
ぬるぬるとしたソコに指で触れるのとは違って、どうしようもないくらいの快感に襲われる。
「ぁ…っ……和…くん、お願い……やめて」
実優の声は熱っぽく、乱れた呼吸に掠れてた。
挿れたら、ダメだ。
一欠けら残ってたらしい理性が歯止めをかけようとする。
なのに、俺自身の先端から伝わってくる熱さに、勝手に口が身体が動いてしまう。
「やめてじゃねーだろ。入れてください、だろ? 誰のでも咥えんだろ?」
先を少しはめ込むように入れる。
それだけで伝わってくる膣内の狭さと熱さ。
一気に奥まで突っ込みたくて、心臓が鼓動を速くする。
「奥まで入れてください、って言えよ」
最低な俺はどこまでも最低で。
この最後の一線を実優に認めさせるように、強制の言葉を吐いた。
実優は顔を歪めて視線を揺らしてる。
浅く埋めたモノを動かして、俺の存在を示すと一層実優の顔は歪んだ。
泣きだしそうな表情の中で、迷っているのがわかる。
「言えよ。誰でもいいんだろ? 淫乱なまんこに突っ込んで下さいって、言えよ!」
その迷いが嬉しいような、苦しいような自分勝手な戸惑いに苛々と叫んでしまった。
実優が少し怖がったのが少し繋がったソコから伝わってきた。
もう―――どうしようもない。
「ほら」
どうせ嫌われてしまう。
もう怖がらせてる。
「っあ! ぁんっ…」
それなら最後まで突き進んだほうが、ってあさましすぎる自分勝手な想いにまた少し先端を挿入させた。
あきらかに感じて、欲しそうにしている実優は結局嫌だと首を振った。
当たり前。実優が最後まで俺を受け入れるはずがない。
松原は受け入れても……。
「―――……ばーか。……でも、入れるけどな」
俺と松原と、なにが違うんだよ?
湧き上がってくる苦みと俺の言葉に反応するように蠢く感触に、俺は一気に腰を進めた。
押し広げるように入って行った膣内は熱く襞を纏わりつかせ締め付けてくる。
「お前…っ、きつすぎだろっ。……っくそ!」
挿れただけで射精感がせり上がってきて思わず舌打ちしてしまう。
気持ちよすぎるそこはめちゃくちゃに動いてしまいたくなるけど、これであっさり俺だけイクなんて真似できるはずない。
とりあえず……実優をイかせたい。
ため息をついてなんとか欲をセーブさせながら実優の脚を抱えて、腰を動かしだした。
「ッゃ…、……あっ、………ぁんっ……ッふ…ぁ……ッッ」
……ヤバい。
めちゃくちゃ気持ちいい。
擦れあって熱がいくつも生まれて、卑猥な水音と実優の喘ぎ声に頭が麻痺してしまいそうだ。
必死に自身を宥めながら、実優の気持ちい部分を探しながら、俺も気持ち良さに律動を速めてしまう。
いままでと全然違う。
これまで女とヤってきたのがなんだったのかってくらい気持ち良くて、俺の動きに喘いでる実優が可愛くってしかたなかった。
身体と一緒に揺れてる胸を掴んだ。少し力を込めて揉みながら突きあげると中がぎゅっと締めつけてくる。
感じてるっていうまぎれもない感覚と、強くなった喘ぎ声にもっともっとと突き動かしてしまう。
「あんっ! ひゃ……ぁ……ッだ…め……ッ…。和く…、気持ち…いい…っ」
不意に飛び込んできた実優の声。
はっきり聞こえた快感を認める言葉に、なにも考えられなくなってひたすら腰を打ちつけた。
「っゃあ! っは…、あっ……ん……ゃ…ッ!! かず…くんっ……イッ…ちゃう……イッちゃうの…っ」
そしてまた聞こえてきた声に興奮を覚えながら実優がイくように激しく突き刺した。
「実優……っ……イケ……よ!」
「っひゃ……ぁ……ッッッ!!!!」
実優の背中が弓なりになって身体が痙攣する。
俺を包み込む膣がこれ以上ないってくらいに締まって収縮した。
俺まで持って行かれそうになって必死で耐えながら、実優がイったことにほっとした。
しばらく実優は息を切らせて身体を震わせていた。
熱く痙攣する実優の中に、早く動きたい気持ちもあるけど、実優が落ち着くまでは待とうと射精感を堪える。
イった余韻にぼうっとしている実優はいつもと違って色っぽくて、可愛い。
俺の中の複雑な苛立ちが少し和らぐのを感じながら、そっと実優に声をかけた。
「………動いていいか?」
焦点のあってない目を俺に向けて、小さく頷いてくれる。
イったあとでまともに考えられなくって、ただ流されているだけかもしれない。
でも受け入れられたっていうことは事実で、早く動きたくなってしまった。
実優の太ももを抱えて律動を再開する。
熱く溶けそうな膣内はずっと収縮し続けていて俺の欲を引きだそうと締め付ける。
「っ、んん……っは、ぁん」
実優の喘ぎ声と繋がった部分から聞こえてくるぬちゃぬちゃとした水音。
イイか、と訊いたら素直に「うん」って返してくれる実優にもっと触れたくてたまらなくなった。
顔を近づけてキスした。
身体はとっくに繋がっているのに初めてのキス。
実優の口の中に舌を割り込ませて舌を絡めた。
上も下も熱いナカ。
舌を這いまわらせると、そのたびにキュッと膣が締まって、実優の身体を抱き起こした。
体面になった状態で、俺は抉るように腰を動かした。
「ん、……っ、んん」
キスの合間、実優の喘ぎが俺と実優の唇の隙間から漏れてきて耳をくすぐられる。
なんだかまるで普通のカップルの行為のような気がして―――錯覚しそうになる。
このまま俺だけのものになったらいいのに。
ずっと繋がって、いったい何回イカせられたら実優は俺を見るんだろうか?
「実……優」
ギュッと抱きしめて、離したくない。
「っ、かず……くん…っ……」
心配そうな実優の声が俺の名前を呼んできて、無性に苦しくなった。
それを振り切るように下からの突き上げを激しくする。
「っあ、ん、……ん、っ……あっ」
腕の中にある実優の体温を感じながら柔らかな首筋に顔を埋める。
香水をつけてるのかつけてないのかわからねーけど、いい匂いがして一層強く実優を抱きしめた。
奥に届くようにねじりこむたびにヒクつくそこに、限界はだんだん迫ってくる。
勝手に腰が動き出して実優の身体を激しく揺らした。
「……っく……、もう……もたねぇ……」
「ッや……ぁ…! ぁんっ……っは…!」
実優の腰を掴んで快感が増すように俺の動きと合わせて揺すらせる。
「ッ……、……ぁ……ぁっ……」
またイキそうになってるのか実優が俺にしがみついてきた。
柔らかな実優の腕が俺の背中にまわされて、それだけなのにめちゃくちゃ刺激を感じて一気に昇り詰める。
ラストスパート、欲を吐きだすためだけに腰を上下に突き動かして―――。
「……ッ! っく!!」
どうしようもない射精感に実優の中から自身を引き抜いた。
そして次の瞬間実優の太ももに白濁が飛び散った。
呆れるくらいの量を、しごいて全部吐き出してしまう最悪な俺。
白い実優の肌に飛び散った俺の欲の証が卑猥で、目がくらみそうだった。
荒い息と性交の独特の匂いが充満してる。
実優は顔を、露出している肌を赤くさせぼんやりと余韻に浸っていた。
俺は欲を吐きだして満足したと同時に―――……冷静になっていって、後悔が押し寄せてきた。
気持ちよかった。
だけど、だからなんだ?
無理やりヤって、それで?
嫉妬に狂って抱いたからって俺のものになるわけじゃねーのに。
それどころか、もう―――……。
後悔と虚しさと、俺が感じていい訳じゃないのに哀しさに息苦しくなりならが実優の太ももをティッシュで拭いた。
俺をじっと見ているってことはわかってたけど、謝らなきゃいけねーって思ってるのに、なにもいうことができない。
拒絶されたら罵声を浴びせられたら、そう思うと馬鹿みたいに怖かった。
実優のことを気遣ってやることもできないまま、俺はひとり準備室を出ていった。
鞄は教室に置いたまま。
だけどそんなもんどうでもいい。
逃げ出すように校舎を出て家に帰った。
両親共働きで誰もいない家に入って、自分の部屋のベッドに身を投げ出す。
うつ伏せになって顔を枕に沈めた。
なにも考えたくない。
なのに、目を閉じたら浮かんでくるのは実優の恥ずかしそうな顔とか、柔らかかった肌の感触とか、喘ぎ声とかで。
「……くそっ!」
生々しく思い出してしまってベッドから跳ね起きると枕を壁に投げつけた。
ひとりで部屋にいたら逆にずっと実優のことばかり考えてしまいそうで、着替えると繁華街に繰り出した。
自分自身に苛々して、なんでこうなっちまったんだって、苦しくて。
紛らわすように俺の方から喧嘩を売ったりした。
殴られて殴って、痛みでようやくクリアになる頭ん中。
逃げることしかできねー情けない俺はただひたすら喧嘩をし続けた。
そして―――それを止めたのは、実優だった。