HAPPY BIRTHDAY!! 3

旅館は山間にある隠れ宿みたいなところだった。
高速で2時間。とちゅうサービスエリアで私服に着替えて休憩とかしながら6時前に宿に到着。
着替えとか私が作ったケーキとか、そして用意してたプレゼントまで先生は持ってきてくれてた。
「すっごーい!」
仲居さんに案内してもらったお部屋に入って、思わず叫んじゃう。
お茶の用意を始めていた仲居さんが少し笑っててちょっと恥ずかしくなってしまった。
顔を赤くしながら先生を見ると、とくに部屋の中を見渡すでもなくって座椅子に座って煙草に火をつけてる。
……当たり前だけど余裕な感じ。
なんだか一人はしゃぐのが恥ずかしいから先生の向かいに座った。
仲居さんはお茶を淹れるとお茶菓子の説明をしてから出ていった。
シーン、とした室内。
ちらっと先生を見ると目が合って、煙草を咥えたまま顎をしゃくる。
「うずうず座ってんな。見て回って来い」
私の気持ちなんてお見通しらしい先生。
でも私だって余裕なふりしたいから、大人しくお茶をすすって―――立ち上がった。
「………見てくる!!」
ふっと視界の端で先生が笑うのが見えたけど、構わずにお部屋の散策開始。
すっごく綺麗な旅館で、お部屋は全部離れ。
お部屋は和風モダンな感じで二間続き。寝室は畳だけどキングサイズの低めのベッドが置かれてて、サイドには和風なランプがある。
それに一番感動なのが窓から山の景色が見えるんだけど、すっごく綺麗!
もう夏だし陽が沈むのは遅くなってるけど山だからか薄暗くて、でも遠くの山が夕焼けに染まってて見惚れちゃった。
それからお風呂を見に行ってまたびっくり。
露天風呂付っていうのは聞いてたけど、石造りの内湯もすごく広くて綺麗。内湯から外へのドアがあって出て見ると一面板張りになった床の真ん中にお風呂があって、端には休憩用のチェアもあるし、景色も見えるし。
「すごい! 早く入りたい!!」
テンションが上がりまくって思わず叫んじゃう。
「もう入るか? 楽しみはあとでだろ?」
急に耳元で声がしたかと思うと、後ろから抱きすくめられて心臓が止まりそうになった。
「っせんせい。もうびっくりしちゃったじゃない!」
声が上ずってしまう。
先生を振りかえろうとしたけど抱きしめる力が強くって首を少しだけ後ろに向けることしかできない。
そんな私の首筋に先生の唇が堕ちてくる。
小さく肩が震えてしまう。
ぺろり、首筋から肩へと移動した唇が、舌を出して肩を舐める。
「……んっ」
むず痒いような感覚に声を上げてしまうと、いきなり抱きかかえられた。
軽々と横抱きにされて部屋の中へと戻っていく。でもずんずんと進んでいく先は寝室で、ベッドに放り投げられた。
スプリングのよく効いたベッドにバウンドして沈む身体。
そこに先生が馬乗りになってくる。
「えっ、ちょ、先生!?」
いきなり!?、って焦る私に濃厚なキスが降ってくる。
食いつくされちゃうんじゃないかってくらいに口の中を犯されて、息が上がってしまう。
息継ぐひまもないほど激しいキスに翻弄されてると、新しい刺激が加わって身体が跳ねた。
シャツとブラジャーを一気にたくしあげられて露わになった胸を揉まれる。
「ぁ……っ、んっ」
唇が離れて深く息を吸いこもうとするけど、それよりさきに喘ぎがでちゃう。
そして先生の唇が次にキスを落としたのは胸。唾液を絡めるように胸の蕾を舌で弄られて、甘噛みされる。
「っあ、ん……っや」
ピチャピチャ音をわざと立てながら吸いついてくる先生。
胸の先端からぞわぞわと甘い刺激が全身に伝わってきて、むずむずと疼く身体に足をすり合わせた。
「ぁ、あ……っふ、ぅん」
ちゅ、ちゅ―――、と両方の胸を執拗に攻められ続ける。
気持ちよくって。
でもずっと胸ばかりだから、もっと他の場所も―――って思ってしまう。
「……ん……っ……」
ギュッとねだるように先生の腕をつかむと、先生は一瞬顔を上げたけどすぐに胸の谷間へと顔を埋めた。
チリっと肌に小さな痛みが走る。
そして先生は身体を起こして、ニヤッと笑った。
「運転で疲労した分のチャージ完了」
「……チャージ?!」
なにそれ!?って先生を見ると、先生はさっさとベッドから降りた。
「せ、先生?」
どうしようもなく火照ってる身体を抱きしめながら、つい物欲しげに視線を送ってしまった。
なのに先生はさっきまでのエロモードはオフになってしまったみたいで、向こうに行くぞと手招きする。
「………ひどい」
「なにがだよ」
「純情な乙女をたぶらかして!!」
「どこに純情な乙女がいるんだ?」
私の言葉に可笑しそうに笑いながら先生は私の傍に腰をおろして、触れるだけのキスをしてきた。
「先生の目の前にいるでしょ?」
「淫乱な少女ならいるな?」
「もうっ!」
中途半端にその気にさせて、自分一人満足したらしい先生の顔にまくらを押し付けた。
だけど呆気なくそれを押しやりながら先生は宥めるように私の頭を撫でる。
「しょうがないだろ。7時半から夕食なんだから、いまからシてたら、お前疲れて食欲なくなるだろ」
……なら最初から触らないならいいのにー!
「とりあえず母屋にも大浴場と露天風呂があるらしいから、入りにいくぞ」
「………先生のばか」
はしたないけど、スイッチを入れられちゃった身体をもてあましながら、唇を尖らせて先生の肩に顔を埋める。
先生が喉を鳴らして笑うのが伝わってきて、ちょっとだけ気持ちも落ち着いた。
「ま、あとでご希望通りたくさんシてやるよ」
そう言いながら先生は私の胸の指を這わせ、ある一か所を撫でた。
「予約、入れといたから。―――覚悟しておけよ?」
その言葉に、胸元を見てみるけど自分からは見えなくって。
でもそこになにがあるかはわかってる。
先生がさっきつけた赤い痕を感じながら、私は素直に頷いてしまった。