EXTRA GAME First contact 1

セックスはゲームみたいなもの。
イカせて、イッて、ひとときを楽しむもの。
決して女を性欲処理の道具だとかは思ってはない。
そこに人間本来の生殖というものを見出せば、また違うものが必要だったりするのかもしれない。
たとえば、愛だとか?
だが現時点で、俺にとってのセックスは快楽を得るための行為でしかなかった。
だから―――はじまりは単なる偶然で。
ソレは、いつも通りのゲームを始めたに過ぎなかった。

まさかそれが、すべてを変える
特別なゲームになるとは―――思いもよらなかった。





***





「あっ…! やぁ…ッ! あンッ…! ィクッ…!」
高らかな喘ぎを上げて、なまめかしく腰を揺すってる女。
指を3本も下の孔に咥えこんで、自ら快楽を貪ってるのは今日で会うのが2度目の″生徒″。
放課後の空き教室で教え子ではないものの制服姿のままで乱れている姿はなかなかそそられる。
軽くイってしまったらしいその内部を抉るように指を動かすと、大きく身体を震わせた。
「やぁん! ぁん! せ、せんせいッ…」
なにが嫌なのか。
キツク指を締めつけて愛液を垂れ流しているくせによく言う。
俺は冷たい笑みを浮かべると、エミだったかエリだったか名前もよく知らない生徒の耳元で囁いた。
「そろそろ挿れてやろうか?」
言葉に反応するように指の締め付けが一層強くなる。
この女生徒は3年。もう18になるとか言ってたか。
外も中もなかなかに出来上がってる女だった。
「いれてぇ」
耐えきれなさそうに眉を寄せる女生徒の膣から指を抜く。
愛液で卑猥に濡れて光っている指を口に咥えさせながら、片手でゴムを取り出した。
ゴムの袋を口で開けようと持って行った時―――廊下から激しい物音がした。
なにかが倒れるような音。
そして「う、うー」という呻き声。
ピタリ、俺と女生徒の動きが止まる。
どこのバカかは知らないが、よりによっていまこれからっていうときに廊下で転んでしまったらしい気配。
思わず眉根を寄せていると、女生徒はあわてたように右足の踝で止まっている下着を身につける。
内心舌打ちしながら俺もまたゴムをポケットにしまう。
「センセっ、私行くねっ」
小声で女生徒は言うと、慌ただしく教室を出ていってしまった。
軽くため息をついて開け放たれたままのドアへと向かう。
廊下へと視線を向ければ床に這いつくばった状態の女生徒が一人。
……いったいコイツはどこで転んでんだ。
転ぶ要素なんどなにもないのに、と半ば呆れながら様子を見る。
その生徒は俺の存在に気づいてないようで立ち上がると服の乱れを整えていた。
肩下までの栗色のふんわりした髪。ぱっちりとした目に、華奢な身体。
だがなかなかスタイルはよさそうだ。
それに男受けのよさそうな純粋さを感じさせる一般的に可愛いだろう容姿をしてる。
―――悪くない、な。
寸止めされた欲が再び沸き上がってくるのを感じながら声をかけた。
「おい」
情事を見られた―――いや、聞かれているはず。
ならばこの生徒が消えるまで身を隠してた方がいいのかもしれない。
だが隠れるなど性分には合わないし、顔を見られたところでたいして困りはしない。生徒の一人や二人騒ぎ立てたとしてもそれを排除するだけの力は持っている。
いまはとりあえず、この生徒を陥落させるほうに興味がいく。
「おい、なんにもない廊下で転んだヤツ。オマエだよ」
はじめにかけた声で固まってしまった生徒はようやくゆっくりと俺へと視線を向けた。
そしてしばらく呆けたように立ち尽くしたあと、口を開いた。
「えと…あの……今日1-Aに転入してきた橘実優です」
……わざわざフルネーム名乗るなんて、こいつバカか?
どうも若干抜けてるらしい実優を眺めながら小さく笑ってみせる。
「転入生か、どーりで見たことないて思った」
そう声をかけながら、目を細め見つめた。
「実優」
あえて名前を親しみをこめて呼べば、実優は驚いたように目をしばたたかせた。
戸惑いはあるようだが、抵抗はなさそうだ。
まずまずの反応に笑いがこぼれそうになるのを抑え、手招きした。
「来い」
少し迷ったようにしながらも結局は歩き出す。1メートルほどの距離を開けて実優は立ち止った。
従順さはプラスだな。
そう思いながら実優の腕をつかむ。微かに震えた身体。それを感じながら引きずりよせる。
「きゃっ」
驚きに声を上げた実優に、耐えきれず口角を上げた。
有無を言わせず教室の中に連れ込んで、ドアと鍵をすぐさま閉める。
おそらく混乱してるだろう実優の身体を壁に押し付け、囲うように両手を壁につけた。
逃げ場を塞ぐために―――。
だが少しだけ安心させるために、笑顔を作る。
それでも落とす言葉は反応を見るためと、そして誘うためのもの。
「実優が邪魔したから、俺イケなかったんだよね」
囁くように言えば、瞬間実優は顔を赤く染め、俺の目を見つめた。
驚きすぎて動けないだけかもしれない。
言葉を発せずにいる実優の目は、だが―――ほんの僅かだが欲が滲んでる。
それに自身の欲が引きずりだされる。
そして俺は実優の耳元に唇を寄せ囁いた。
「さっきの続き、実優が責任もってしてくれよな?」
ゲームの開始を知らせる言葉を。