secret 57 恋、想い

「んー……」
寝返りを打とうとして、でも動けなくって、ぼんやり瞼をあげた。
目に映ったのはすぐそばにある可愛らしい顔。
そう捺くんにぎゅっと抱きしめられて眠ってたみたい。
私は素っ裸のままで、捺くんも裸のまま。
捺くんの肌すべすべして気持ちいい……。
なんて!!
そんなことをぼんやり考えて、一気に目が覚めた。
「あぁ……どうしよう」
捺くんとまでエッチしてしまった。
彼氏でもなんでもないのに。
私ってほんとに淫乱なのかなぁ……。
結局喘ぎまくって、イキまくっちゃったし。
はぁ、ってため息をついてると、もぞもぞ捺くんが動いた。
「………みゆーちゃん?」
目を擦りながら、寝ぼけたように呟く捺くん。
「お……おはよう」
「おはよー」
にこっと笑って捺くんはぎゅーって私を抱きしめてる手に力を込める。
そして胸に顔をうずめてきた。
「っひゃ! ちょ、捺くん!!」
「んー、実優ちゃんのおっぱい気持ちいー。ミルク出る?」
言いながら、ペロペロ舐めてくる。
「ぁっ、ちょ、……だめ!!」
このままじゃマズイ!!って思って、渾身の力を込めて捺くんの胸元を押す。
「なんで? 朝のエッチは?」
「しないしないしなーい!!!」
大きく叫んで、私は必死に捺くんの腕の中から逃げようとして―――ベッドから落ちた。
「……大丈夫?」
捺くんが吹き出しながら、上から見下ろす。
「……大丈夫」
恥ずかしくって顔を赤くしながら、床に散らばってたニットワンピやトレンカを引きずりよせた。
「ね、最後にシよーよ」
ベッドの上で枕に頬杖ついた捺くんが色っぽい眼で見つめてくる。
「し、シないの!!」
「なんでー」
「ともだちだしっ!!」
エッチしちゃったけど、やっぱり捺くんは大事なお友達。
だからその想いをこめて捺くんを見つめ返すと、少しして大きなため息がつかれた。
「わかったよ。オレ、しつこくするのイヤだし。それに実優ちゃんも疲れてるだろうしね?」
ニヤっと笑いながら、捺くんが手を伸ばしてきた。
さわっと腰のあたりを撫でられる。
ぞくっとして、それと同時に下肢部に鈍い痛みが走る。
結局3回戦までシちゃって。
しかもされるがままにいろんな体位でされちゃって……。
激しすぎて、腰が痛くなってる……。
「お風呂入れてあげるから入りなよ。身体ベトベトでしょ?」
「え、でも」
「いいからいいから。すぐ用意してくるね」
捺くんは笑って部屋を出て行った。
今からお風呂に入るにしても裸のままでいるわけにはいかないから、一旦洋服に着替えた。
そして携帯を見ると朝の9時で、画面にはメール受信3件っていう表示が出てた。
メールの送信主は全部和くん。
一番最初に入ってきたのは、昨日バーを出た直後くらいみたい。そして0時頃と、今朝の7時。
3通とも『大丈夫か』っていう心配のメール。
昨日バイバイも言えなくって、私が先に帰っちゃったからきっと心配してくれてるんだろうな。
優しい和くんにふっと笑みがこぼれる。
『昨日は先に帰っちゃってごめんね! 私は大丈夫だよ。和くんは飲み過ぎてない? また冬休み遊べたらいいね』
和くんに返信メールを送った。
そしたら1分もかからずに受信音がなる。
『二日酔いしてないか? 今日はゆっくり寝てろよ。今度どっか行こう』
『二日酔い大丈夫みたい。いつでも誘ってね♪』
そうやり取りをしてたら捺くんが戻ってきたので携帯をバッグに仕舞った。
「すぐお湯溜まるから。タオルとかは置いてるよ」
「うん、ありがとう」
それからお風呂まで案内してもらって、お風呂に入った。
初めて入るお家で勝手にお風呂を借りるなんて、正直いいのかなって思ったけど、シャワーで汗をきれいに洗い流して湯船にゆったりつかったらさっぱりして少しだけ腰の痛みも和らいだ気がする。
お風呂からあがって置いてあったタオルを取ると、新しいパンツまで置いてあった。
コンビニで売ってるようなの。
買ってきてくれたのかな?
ありがたくそれを履いて、洋服を着て、ドライヤーを借りて髪を乾かした。
それにしても、本当に私なにしてるんだろう。
お持ち帰りされちゃうなんて―――私に隙がありすぎるんだよね……。
何度となくため息をつきながら、髪を整えて脱衣所を出て―――。
リビングへと向かいかけたけど、聞こえてきた話し声に足を止めた。
お家の人帰ってきちゃったのかな。
どうしようー……。
焦って立ち尽くす私の耳に―――
「本当になにもしてねーだろうな」
飛び込んできたのは和くんの声だった。