secret 112  嵐  

ほんの少し触れただけで、肩を押されて離される。
先生は険しい顔で私を見下ろしてる。
その唇がゆっくりと動いてなにか言おうとしたから、私はまた背伸びして唇を押し当てた。
先生が私を離そうとする。だけど必死で先生の首に手をまわしてしがみついた。
しばらく触れるだけのキスが続いて、そしてやっぱり先生の唇は離れていった。
心が軋む。
やっぱり、もう私はいらないんだって。
ゆっくり瞼をあげようとして―――不意に後頭部に手があてられた。
ぐっと引き寄せられて、唇が塞がれる。
食むように唇を吸われ、そして舌が私の口内に入り込んできた。
「………っん」
熱い。
身体が冷え切っているせいか、ひどく口のナカが、先生の舌が熱く感じる。
荒々しく口内を犯す舌。
溢れる唾液を飲み込みきれなくなるほど激しく這い回る舌。
浴室の壁に押し付けられて角度を変え深いキスをされる。
「っ、ん……ん……」
くちゅ、くちゅと唾液が絡まる音が快感と一緒に頭に伝わってくる。
先生の手が濡れた服越しに胸に触れてきた。
「……っ……ん……ぁ」
胸を押すように揉まれて、それだけなのに強い刺激がびりびりと身体を走りぬける。
頭がぼうっとしてしまう。
だけど急にキスが止まった。胸を刺激していた手の動きも。
「………せ」
先生、ってねだるように目を向けると、またキスが落ちて、先生は私の服を脱がせ始めた。
雨をたくさん吸いこんで重くなってた洋服が浴室の床に落ちていって、だんだんと身体が軽くなってく。
「……足、あげろ」
言われるままに足を少し上げて、スカートもパンツも全部脱がされた。
そして裸になった私を先生は強く抱き寄せると、顎を持ち上げて唇を塞いできた。
「ん、ん……っ」
熱く這い回る舌に、夢中で舌を絡ませる。
それに夢中になってると―――。
「んんっ!!!」
前触れもなく先生の指が、私の中心に触れてきた。
割れ目をなぞって、くちゅっと浅くナカをかきまぜる指。
その感触に、ものすごく濡れてることに気づく。
指は少しだけ触れて、すぐにぐぐっとナカに侵入してきた。
「んっ、っぁん!」
たったそれだけなのに、気持ちよくってイキそうになってしまう。
先生は私の首筋に顔をうずめて舌を這わせた。
指がもう一本追加されて、二本の指がぐちゅぐちゅとナカを強く突いてくる。
「ひゃ、っ……あ! んっ、……ぁんっ」
頭がくらくらするくらいに気持ちいい。
思わずぎゅっと強く先生にしがみつく。
「………濡れすぎ」
低く掠れた先生の声が耳元で囁いて。甘く耳を噛んでくる。
ざらり舌が耳たぶを舐めて、孔に這ってくる。
熱い吐息と熱い舌の感触がちょくせつ頭の中に響いて、ゾクゾク身体が震えてしまう。
その間もぐちゅぐちゅと激しく指は動いていて。
「っは………ぁ、あんっ……っあ……、イっちゃうっ……」
あっというまにイっちゃいそうになって身をよじってると、先生の指の動きが止まった。
「んっ、ゃ……ぁ……せんせ……っ」
「勝手に、イくなよ?」
耳に唇を寄せたまま、そう囁かれる。
そしてまた指がぐちゅ、ぐちゅっと挿送をはじめて。
「んっ、ぁん……! せんせっ、っん」
「まだ、だめだ」
「やぁ……っ……ぁ……っあ」
激しく動いたと思ったらピタリ指の動きが止まって、昇り詰める寸前のところでジリジリ焦らされて、どうしようもなく身体が疼く。
「せん……せぇ……っ、なん、でっ……んん」
イケないもどかしさに先生を見つめると、キスされた。
軽く舌で口内を犯して、先生は私を見つめる。
口角を上げ、目を細めて。でも、その目は笑ってない。
「俺が欲しいんだろ?」
淫欲にそまった目。
よく知ってる、でも、いつもよりも激しさを感じさせる眼差し。
ゾクって、鳥肌がたつ。
「それなら―――俺ので、イケ」
ぐっと片脚を持ち上げられて。
先生の目に、目を奪われたまま―――、一気に挿入された。
「……っ……ぁあんっ!!」
「………く…ッ」
最奥までズブズブと突き刺されて、のけぞってしまう。
熱すぎる先生のモノに、一瞬で絶頂に達してた。
「………ヤバい……な、これは……」
一層掠れた声で、先生が呟く。
私のナカに埋まる先生のモノ。
それがビクビク脈打っているのがわかる。私のナカもびくびく収縮して痙攣してるのがわかる。
そして―――いままでとは違う、感覚。
「………動くぞ」
ゆっくり抜き差しがはじまって、ぐちゅぐちゅと蜜がかきだされてく。
はっきりと感じる熱。
ぎりぎりまで引き抜かれて、一気に突き上げられて。
「んっっ! ……は……ぁ、ん、っんん」
ぐりぐりと抉るように擦られ、突かれて。
「っ……ふ……ぁ……ん、……っ……あ……熱……い」
溶けてしまいそうなくらいに、アソコが熱くなってく。
蜜はたえず溢れてて、太ももまで伝っていってるのがわかる。
ずっとシャワーの音がザアザアとしてるのに、そんなの気にならないくらいに、先生の息使いしか耳に入ってこない。
「……せん、せい……っ」
先生の首に手をまわして、顔を近づける。
腰を打ちつけられて生まれる快感に耐えながら、先生の耳元で、喘ぎと一緒に呟く。
「……ナカに……っ……、………だ、して……っ」
激しかった動きが、止まる。
先生と、目が合う。
「……私………ピル……飲んでる……から……だから……」
何度か―――言いかけたことがあった。
先生は絶対にゴムをつける。
それが違ったことなんて、一度だってない。
でもずっと私はピルを飲んでて、それを言ってしまいそうになったことが何度かある。
ゴムを……使わないでって。
だけど、それは私の中で言っちゃいけないことって、封印してた。
でも。
「………先生が……全部……欲しい」
いま、先生はゴムをつけてない。
なんの隔たりもなく、私のナカに先生がいる。
「せんせ………、っあ、んっ……!」
止まってた動きが、加速して再開される。
「ん、っあ、あ……、はっ……ん」
ぐちゅぐちゅ、響く卑猥な水音。
パンパンッ、響く強く肌がぶつかる音。
「っあ、んんっ……せんせ……」
気持ちいい。
気持ち良すぎておかしくなっちゃいそう。
ふわふわゾクゾクがくがく身体が揺れて先生に抱きつく力を強める。
「………実優……」
囁かれる、私の名前。
それに、どうしてか泣きそうになった。
「せん、せい……っ………キス、……っ……して」
言えば、すぐに唇が塞がれて。
荒々しく舌が差し込まれる。
そしてどんどん律動が激しくなっていって。
「……っ、ん……っ、ふ……ぁ……ん…っ!!!」
舌を強く吸われ、最奥へと突きあげられて、一気に絶頂にのぼりつめた。
びくびく痙攣するナカで、先生のモノがさらに膨張するのを感じる。
強く、大きく腰を叩きつけられて。
「………ッ……!!」
先生の掠れた呻きが聞こえたと同時に、熱くたぎった先生の欲望が私のナカに吐き出された。
「っあ、ん……っ」
子宮口へと叩きつけられる白濁液。
その感覚に背筋が震えて、また軽くイってしまう。
「………お前のナカ熱すぎ……」
全部を注ぎこむようにゆっくりと腰を動かし続けてた先生が、熱っぽいため息をこぼした。
「……先生……のも熱いよ……?」
まだナカに入ったままの先生のを感じながら、先生を見つめる。
先生はふっと笑う。
それはいつも見てた笑みで、ホッとした。
「寒くないか?」
「大丈夫。……浴室暖房いれてるでしょ……?」
「まぁ、そうだけど」
「寒くないよ」
「念のため風呂は入ってたほうがいいぞ」
「………離れて?」
そう訊くと、先生は小さな笑いをこぼして腰を動かした。
先生のモノは少しだけ硬さがなくなったきもするけど、まだ私のナカで存在を主張してる。
ぐちゅ、っと私の蜜と先生の精液とがまざりあって粘着質な音を響かせる。
それだけで絶頂の余韻が残った私の身体は小刻みに痙攣してしまう。
「このまま入ればいい」
「……服は?」
「お前が脱がせろ」
「……できるかな?」
「……顔、にやけてるぞ」
「…………にやけてないもん!」
先生を軽くにらみながら、先生のシャツに手をかける。
ボタンを一つづつ外していって、脱がせて。ズボンはちょっと手間取りながらも脱がせて。
素肌同士が触れ合ったら、先生が繋がったまま私を抱っこして、湯船に入った。
温かさに身体がほっとするのを感じた。
そして急に先生が動いいた。先生のモノがゆっくり出て行きかけて、ずぶずぶとナカへ戻ってくる。
「……っ、あん…っ」
お湯を巻き込んで入ってくる感触が変に気持ちいい。
身体を震わせてると、先生が胸に顔を寄せて蕾を口に含んだ。
「んんっ、ぁ、っ………せんせ……っ」
先生はちらり私を見上げて、妖しく笑う。
胸から鎖骨、首筋、耳へとゆっくり舌を這わせながら、耳元で囁いた。
「まだこれからだぞ? お前が欲しがったんだから、覚悟しろよ?」
「………っ……、ん……」
先生の目を見つめながら、唇に唇で触れる。
私から先生のナカへ舌を差し込みながら―――目を閉じた。
ちゃぷちゃぷと湯船が揺れるのを感じながら、キスと、そしてまた熱情に溺れて行った。
何度も、何度も。
お風呂からあがって、ベッドに行っても。
何度でも―――。
言葉を紡ぐ代わりにキスを交わして、身体を重ねた。

訊きたいことも。
訊かれることも。
言うことも。
言われることも。

なにも、なく。
全部忘れて、ただ―――熱に溺れた。