HAPPY BIRTHDAY!! 9

荒い呼吸を二人して吐き出してた。
先生は私を自分の方に向き直させるとまた抱きしめてくれて、お風呂のところまで連れてってくれた。
足だけ湯船につけて二人で並んで座る。
せっかくの露天風呂を足湯にしちゃってるけど火照った身体にはそれもちょうどいい感じ。
でも立て続けに二回もシちゃったからか疲労感で欠伸が出てしまった。
「……寝るなよ?」
先生の肩にもたれかかった私の頬がぐいっと引っ張られる。
「ねないよ……、たぶん」
先生の誕生日である今日、あと二時間くらいはちゃんと起きてるつもり。
だけど先生は「たぶん?」ってちょっと険を含んだ声で訊き返してきた。
「寝る暇なんかないからな?」
「………明日学校だし」
「休むに決まってるだろ。夏木には連絡済みだしな」
「え」
「じゃなきゃいまここでのんびりしてるはずないだろ」
呆れたように言われて、そういえばそっかぁ、なんて思ったけどちらり先生を見上げる。
「元先生が学校サボらせていいんですか?」
ちょっと悪戯気味に言ってみたら、また頬っぺたを引っ張られた。
「俺の誕生日だから特別」
やっぱり俺様発言をする先生に思わず笑ってしまったらもう片方の頬っぺたも引っ張られてしまった。
それから湯船にも入ってゆっくり天の川を見た。
きらきら輝く満点の星空と天の川が綺麗で見惚れて、先生に「来年も絶対見ようね」って言って約束してもらった。
のぼせそうになるくらい露天風呂を満喫して、ようやく上がって。
もちろんその後、休憩をはさんで3回戦が始まったのは言うまでもない……。






***





「楽しかったぁ!」
お昼にチェックアウトして、旅館の近くにあった美味しいお蕎麦屋さんでお昼を食べて。
ゆっくりドライブしながらマンションに帰りついたのは4時ごろだった。
先生と手を繋いでエレベーターに乗って部屋に戻る。
先生の胸元には私があげたネックレスがちゃんとつけてあって、なんだか妙に嬉しい。
「また本当に温泉行こうね?」
きっとずっとにやけちゃってるってわかってるけど、にこにこ頬が緩んでしまう。
先生の腕に腕を絡めて先生を見上げると、ニヤッて笑われた。
「ああ。そんなに露天風呂でスるのが気にいったんならいつだって連れてってやるよ」
「……違うもん!」
そりゃ、気持ちよかったけど……って違う!
どうも最近先生の変態さが移ってきちゃったんじゃないかな、なんて思いながらコーヒーを淹れるためにキッチンにたった。
そしてコーヒーを用意してソファーでくつろぐ先生の隣に座って。
まったりして――――。
無造作にダイニングテーブルに置かれた夏木先生と吉見さんからのプレゼントを見て、ふと思い出した。
「あ! そういえば!」
慌てて鞄からA4サイズの封筒を取り出して先生に差し出した。
「なんだ?」
「昨日ね、夏木先生から預かってたの。すっかり忘れちゃってた」
「ふーん」
訝しげに受け取った先生が封筒の中身を確認する。
先生の眉間にしわがよってくのを見て、なんなんだろう?、って思ったら―――先生は封筒を私に返してきた。
「ま、頑張れ」
「は? なに?」
先生は返事もくれずに煙草を吸っていて。
意味がわからずに封筒から中身を出してみると、10数枚あるプリントの束で。
「…………え」
呆然と、してしまった。
「苦情は担任夏木に言えよ」
「えー!?」
プリントは今日休んだ授業の課題用紙で。
一人くつろぐ先生を横に、私はそれから数時間かけて課題をするはめになっちゃったのだった。




―――HAPPY BIRTHDAY to AKITO / SECRET GAME.



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「ここ、間違ってる」
「………」
「あと、ここも」
「………」
「つか、なんでそうなる」
「………」
「ここも―――」
「先生っ! うるさい! じゃまー!!!」



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